<全員野球・センバツ23・社>足跡/上 完敗から勝機見いだす 執念で守り勝ち、自信に /兵庫
「もう1回、甲子園に出てやる」。2022年夏の甲子園の2回戦で敗退後、新チームは悔しさを胸に奮い立った。だが、2年生の甲子園でのベンチ入りはわずか4人。実戦の経験不足から焦りを感じていた。新チーム結成から秋季県大会の開幕まで1カ月しかない。「うまく勝ち上がっていけるか」。選手たちには不安が残っていた。 そんな中、県大会を勝ち進んだが、準決勝で強豪の神戸国際大付が立ちはだかった。エラーが失点につながるなどミスが目立ち、打線も好機を生かせず1―6で完敗。選手たちは「実力は相手が上かもしれないが、守備でミスなくアウトを取り、攻撃も走者をしっかり進めれば勝てないことはない」と実感した。 「近畿大会への道はまだ残っている」。県内からは3校が出場できる。気持ちを切り替えて臨んだ育英との3位決定戦で、選手たちは執念を見せた。1点を追う七回、先頭の河関楓太(2年)が中前打で出塁し好機を作ると、暴投の間に生還し、同点に追いついた。その後は均衡が続き、試合は延長戦に突入。タイブレークとなった十三回、山本彪真(同)の適時打などで3点を加えて4―2で制し、近畿大会への2年連続の出場を決めた。 一つずつ確実にアウトを取り、相手打線を抑え込んだことが勝利へとつながった。主将の隈翼(同)は「きっちり守り勝てた」と振り返る。育英に競り勝ったことは選手たちにとって、大きな自信となった。 ◇ 第95回記念選抜高校野球大会に19年ぶり2回目の出場を決めた社。県立校ながら夏春連続の甲子園となるチームは「全員野球」を掲げる。これまでの足跡を試合や練習からたどる。【喜田奈那】 〔神戸版〕