住宅街に希少種ケナガネズミ マングース根絶も関係? 奄美大島奄美市
「チョロチョロしてユーモラスな動きだった」。鹿児島県奄美市名瀬の住宅街に国の天然記念物ケナガネズミが現れた。近隣住民は、普段は森の中に生息する希少な動物の出現に驚きながらも、その姿を目に焼き付けた。 8月31日午前6時20分ごろ、同市名瀬平松町の宮山紘一さん(85)が日課の散歩中、小宿中学校近くのブロック塀にいるネズミを、近くにいた地元住民と共に見つけた。慌ててスマートフォンで動画を撮影し、そろそろと慎重に塀を下りるユーモアたっぷりの姿を記録に残した。 「テレビや写真では見たことがあったが、実物を見るのは初めて」と宮山さん。3日に奄美大島で希少動物を捕食するマングースの根絶が宣言されたことにも触れ、「その関係もあり(ケナガネズミが)集落の中でも増えているのかも。作物を荒らしたりする話も聞くが、観光に役立てられないか」と話した。 ケナガネズミは奄美大島と徳之島、沖縄島の固有種。体の大きさが20~30センチと国内最大のネズミの仲間。胴体より尾が長く、先の半分は白いのが特徴。背中の長い剛毛が名前の由来。夜行性で主に樹上で生活している。 環境省奄美群島国立公園管理事務所の鈴木真理子希少種保護増殖等専門員は「近年在来種のネズミ類の生息数が回復してきて、目撃も多くなっている。特に8月から9月にかけては繁殖期で行動が活発になり、市街地や民家で見られることが増える。ロードキル(交通事故死)も増えてくるので、街中でも運転には注意してほしい」と呼び掛けた。