10年後「生き残る仕事」「なくなる仕事」の境界線 今後においてもAIにできないことは何か?
私は大学生を教える立場ですが、学生のなかには将来プログラムを書きたいと考えている人もいます。私自身、小学生のころからプログラムを書き続けてきた人間ですので、そのおもしろさはよくわかっているつもりです。 ですが、はたしてAIの時代になりつつあるいま、プログラマーやシステムエンジニアのような職業が今後も安定して継続し続けられるかについては、大いに疑問です。 プログラムを書くという作業はAIにぴったりで、現状でも、有料版のChatGPT-4で相当部分は代替え可能です。従って、ひと月たったの20ドル(約3000円)で使える人工知能を大きく上回る仕事が、毎月何千ドルもの給料をもらってできることを証明しなければならなくなります。
同じことがオフィスでデスクワークを中心とする仕事をする人、いわゆるホワイトカラーの現場でも続出すると思われます。そのなかには、社会的地位が高いと言われてきた医師や弁護士なども含まれます。 ■AIはなにができて、どんなことができないのか そんな近い将来において、人は何をすればいいのでしょうか? この問いは、「」という話と同じです。 答えを述べれば、AIにはクリエイティブなことができません。より正確に言えば、意思をもって何をクリエイティブすべきかを決めることができません。
膨大なデータを学習したAIは、ある指標のあとにどんな指標が続くのかを解くことに関しては、人間の能力を凌駕します。 文章で言えば、ある言葉のあとに続くべき言葉をピックアップし、さらに前後の関係や結論と合わせて、何をどうすればいいのか、膨大なパラメータを調整しながら最適化していくことが可能です。 しかし、AIに原稿用紙を渡し、「あなたの言いたいことを書いて」と依頼しても、何も返せないでしょう。AIを搭載した絵描きロボットに白いキャンバスを渡し、「君の好きなものを何か描いて」と指示しても、やはり何も描けません。