辞意の定番コメント「不徳の致すところ」 兵庫県知事の釈明に思う「徳のなさ」
斎藤元彦兵庫県知事のパワハラ疑惑が混迷を深めている。2021年の知事選で自民とともに推薦を出した維新も、辞職を求める申し入れ書を提出。RKB毎日放送の神戸金史解説委員長は9月10日に出演したRKBラジオ『田畑竜介GrooooowUp』で、進退窮まった状況にもかかわらず、引き際を間違っている知事を批判した。 【写真で見る】幕末の志士たちが心情を記した漢詩 ■兵庫県知事には「徳がない」 RKB神戸金史解説委員長(以下、神戸):兵庫県知事については「この人は大丈夫かな」といつも思っています。よく、選挙で落選した人が「私の不徳の致すところ」と頭を下げるでしょ。知事の話を聞いていると、「この人には徳がないな」という感じがすごくするのです。 田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):まさに「不徳」と。 神戸:高校時代の漢文の授業で習った、「巧言令色鮮(すくな)し仁」という言葉が論語にあります。巧みな言葉を用い、表情をとりつくろって、人に気に入られようとする人は、仁の心が少ないのである。「仁」は、”深い人間愛”を意味する孔子の言葉です。どうもそんな気がしてしようがないのです。 ■漢文の参考書を買ってみた 神戸:私は高校時代にあまり勉強しなかったので、「漢文をもう1回学びなおしたい」と思い、高校参考書『シグマベスト 理解しやすい漢文』(文英堂、税別1500円)を買ってみました。 田畑:受験を考えて?(笑) 神戸:受験は、数学もあるので無理です(笑) 橋本由紀アナウンサー(以下、橋本):厚い参考書ですね。 神戸:でもね、カラーでものすごくわかりやすいんです。もう忘れているから、「あー、そうやったな…」と、楽しくこれを読んでいます。 田畑:「レ点」とか。 橋本:あああ(とすごく嫌そうな声)。 田畑:「豈(あに)、いわんや」とか(笑) ■幕末の志士たちが心情を記した漢詩 神戸:『幕末維新の漢詩 志士たちの人生を読む』(筑摩選書、税別1700円)という本によると、西郷隆盛(薩摩藩)とか橋本左内(越前藩)、佐久間象山(信州松代藩)とか、幕末に活躍した人たちはみんな漢文ができるんです。寺子屋で論語などを学んでいるから。漢詩で自分の心を書くんです。帯には、歴史学者の磯田道史さんが「志士は漢詩にだけ素直に心情を吐露した。だから、本書を読めば志士の真の姿がわかる」と書いていました。この本、面白そうなんですが、よく読めないところがあったので”積ん読”にしていたんです。これをもう1回読みたいと思った時に、「そうだ、参考書を買ってからにしよう」と。 田畑:漢詩をまず学ぼうと。 神戸:受験じゃないと、勉強って面白いですね。 田畑:やっぱり、「自分が学びたい」って能動的になってるのと… 橋本:やらなきゃ、やらならきゃって(笑) 田畑:…と受動的になっているのは、違うよね。 神戸:参考書を半分ぐらい読んだところで、もう志士の漢詩を読みたくなりました。いろいろな人たちが気持ちを漢詩にしていて、本心が漢詩に出ています。明治に入ったころの人たちは、みんな漢文ができる日本人なわけです。