北斎も手掛けた江戸のカレンダー「絵暦」を紹介する展覧会がすみだ北斎美術館で開催
2024年12月18日(水)より、すみだ北斎美術館では、『読み解こう! 北斎も描いた江戸のカレンダー』展が開催される。 【全ての画像】絵師未詳《猿》ほか 21世紀を四半世紀も過ぎたこの時期でも、日本の年末には、新年のカレンダーがやりとりされるが、江戸時代も「絵暦」という非売品のカレンダーを配ることが流行した。これらは自費制作された私的な摺物で、葛飾北斎のような高名な浮世絵師も、絵暦を手掛けている。同展は、そんな江戸のカレンダー文化を紹介する。 そもそも江戸のカレンダーで使用されていたのは、月の満ち欠けで1カ月を定める太陰太陽暦。月の日数は30日(大の月)か29日(小の月)で、毎年同じ月でも日数が変わったため、今年は何月が大の月で、何月が小の月かを知っておくことが重要だった。そこで、絵のどこかに忍び込んでいる大小の月を、見る者が見つけて読み解く、ユーモアとウィットに富んだ絵暦が人気を博したのである。 たとえば葛飾北斎の絵暦《鶯と金太郎》では、金太郎の傍らに置かれた斧に「小」の字が、刃先に「正、五、六、八、十、十一」の文字が書かれている。これは本作が配られた寛政11年の小の月であった。このほか例として、登場人物が、大小の月の数字がデザインされた着物を着ていることなどがあげられよう。 このように小品ながらもアイデアと技巧をこらした絵暦が並ぶ同展では、ぜひ大小の月がどこに隠されているのかを探しながら、とんちの効いた江戸のカレンダーを楽しみたい。 会期中は、学芸員によるスライドトークや講師を招いての講演会、さらに多色摺り木版画で季節のハガキをつくるワークショップなどの関連イベントが行われる。詳細は美術館ホームページで確認を。 <開催概要> 『読み解こう!北斎も描いた江戸のカレンダー』 会期:2024年12月18日(水) ~ 2025年3月2日(日) ※会期中展示替えあり 会場:すみだ北斎美術館