プログノーシスで豪G1・2着 清山助手「6歳秋で完成期。G1の金メダルを獲らせてあげたい」
日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社・新谷尚太(47)が担当。プログノーシスとともに先月オーストラリアに遠征した中内田厩舎の清山康成調教助手(35)を取り上げる。 オーストラリア遠征から帰国後、ひと息ついたタイミングで清山助手にじっくり話を聞く機会があった。 プログノーシスにとっては昨春から4季連続の海外遠征。コックスプレートに狙いを定めた。とはいえ過去3回は香港だから空輸自体は経験済みでもシャティンとはまた環境が違う。まずは9月13日に東京競馬場に移動し、検疫に入った。そこで約2週間。「坂路もチップのコースもなくて(調整が)難しかった」と振り返る。直後は戸惑いながらも相棒はすぐに順応。「日本でやれることをやって出国しました」。29日に成田空港発のフライトで出国し、香港経由でメルボルンへ。人馬ともに南半球の地に初めて降り立った。 現地に着いてからも1日か2日ほどで落ち着きを取り戻した。「香港の時よりオーストラリアの方が穏やかに調整を進めることができました。プログノーシスがこちらの要求に応えてくれて、うまく状態を上げていくことができたし、自信を持ってジョッキー(レーン)に託すことができました」と納得の仕上がりで当日(10月26日)を迎えた。 ムーニーバレー競馬場はトリッキーな長方形のコース形態。最初のコーナーまで距離が短く、テンからスムーズに流れに乗りたかった。スタートに課題があり、現地入りしてから入念にゲート練習を消化。「ジョッキーも乗ってくれて、しっかりやりました」。練習が実を結び、道中2番手をキープ。「思い描いていたプランのレースができたと思います」。前半、後方で脚をためていたヴィアシスティーナが3、4コーナーで外から急接近。プログノーシスは4角で先頭へ。「手応えも抜群だったので、その間はずっと夢を見ていました」と力が入った。ただ、そこから瞬時にかわされると8馬身差2着。最後まで脚は使っている。「(結果に)納得はしていないけど、あの競馬で負けたなら仕方ない。勝ち馬を褒めるべきだと思います」と6歳牝馬をたたえた。 昨春、今春のクイーンエリザベス2世C(香港)に続く3度目のG12着。帰国後はJRA競馬学校(千葉県白井市)での検疫を経て宮城県の山元トレセンに放牧へ。リフレッシュを図り、帰厩に備えている。「計り知れないポテンシャルを秘めている馬。これまで大事に使われてきて、6歳秋で完成期を迎えつつあります。(帰厩して)次にまたがる時は楽しみであるのと同時にプレッシャーもあるけど、これこそが醍醐味(だいごみ)。いつかG1の金メダルを獲らせてあげたいですね」と前を向いた。頂を目指す挑戦には、まだ続きがある。 ◇清山 康成(きよやま・やすなり)1988年(昭63)12月28日生まれ、滋賀県出身の35歳。栗東高校馬術部でインターハイや国体に出場し、卒業後は京都府の宇治田原優駿ステーブルや滋賀県の島上牧場勤務を経て17年に栗東・中内田厩舎へ。父・功一氏は清水久厩舎の調教助手。 ◇新谷 尚太(しんたに・しょうた)1977年(昭52)4月26日生まれ、大阪府出身の47歳。18年5月から園田競馬を担当、同年10月に中央競馬担当にコンバート。前職は専門紙「競馬ニホン」の時計班。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当。