「ゴールドラッシュは終わった」…ProcreateのCEOからアプリ開発者を目指す人へのアドバイス(海外)
ProcreateのCEO、ジェームズ・クーダによると、ベンチャー・キャピタリストによるアプリへの投資は「枯渇して」しまい、市場への参入は困難になるという。 アプリ開発者を目指すのであれば「大胆に」リスクを取り、成功のトレンドを追わぬよう、クーダはアドバイスしている。 クーダは、何か違ったことをすることでインパクトを与えたアプリとして、ウーバーを挙げた。 自分のアプリを作ろうと考えている? ProcreateのCEO、ジェームズ・クーダ(James Cuda)から、悪い知らせがある。 「ゴールド・ラッシュは終わったようなものだ」 iPadとiPhone用の人気デジタルアート・アプリ開発元のCEOであるクーダは、ベンチャー・キャピタリストが新しいアプリにお金をつぎ込んでいた時代について振り返った。 Business Insiderとのインタビューの中でクーダは、現在の状況が、アプリ参入と主要プレーヤーとの競争をいかにを難しくしているか(不可能というわけではないが)を話してくれた。 「10年前は、ベンチャー・キャピタリストたちはとにかくApp Storeにお金を投入していて、すべての開発者が多額の資金を得ていたと思う」とクーダは述べた。 「だがそれも、今ではすっかり枯渇してしまっている」 スタートアップ市場は全体として小康状態だが、AI(人工知能)関連のスタートアップは多額の資金を受けており、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)などが同セクターに注力している。 第3四半期は、ベンチャー・キャピタリストによる取り引きの35.5%がAIと機械学習関連で、64.4%がAIと機械学習以外だったことをPitchBookから共有されたデータは示している。これは、2019年の第1四半期から約25%も増えた。当時、AIや機械学習関連の取り引きは10%しかなかった。 クーダによると、「信じられないほどすばらしい」アプリを作る余地はまだあるが、そう単純なことではないという。現在の状況の中で競争しているアプリ開発者へのクーダのアドバイスは、「大胆にリスクを取る」ことだ。 「私が勧めるのは、これまで成されたことのないことをするということだ」とクーダは述べ、リスクの多い道になるかもしれないが、その報いは、もし成功すれば、より価値があるものとなるだろうと付け加えた。 クーダは、トレンドに飛びつくことは避けるよう、開発者に伝えている。現在のアプリ・ストアに存在する、一流製品との競争を「突破することはできない」からだ。 自身のアプリがiPadのデザイン・アプリの中でトップクラスにある本人さえも、そのアドバイスに従っているようだ。クーダは、Procreateが8月に投稿した動画の中で、生成AIという1つの大きなトレンドについて反対意見を述べ、話題となった。Business Insiderに対しても、同社は自社の製品についてはAIから離れるという決断を守っていると語った。 「トレンドを追えば、すでにチャートを席巻し、たくさんの人の目に触れ、すでにブランド価値の高い製品と競争することになる」とクーダは述べた。 クーダは、これまで誰も試したことのないコンセプトで突如生まれた製品の代表例として、ウーバー(Uber)を挙げた。同社は初め、ウーバーキャブ(UberCab)と呼ばれ、配車サービスとして創業した。クーダは、知らない人の車に乗ってどこかで降ろしてもらうというコンセプトを「ばかばかしい」と思ったことを思い出す。同社は2019年に株式を公開し、10月の第3四半期には110億ドル(約1兆6500億円)強の利益を報告した。 「だが、まったく違ったことをやること、またアップル(Apple)が提供するソフトウェアと自社のあらゆるテクノロジーを活用することでウーバーが与えることができた影響に注目してほしい」とクーダは述べた。
Ana Altchek