日本オペラ史上最高のヒット作。民話と美しい音楽が融合する團 伊玖磨の『夕鶴』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
團 伊玖磨 オペラ『夕鶴』 日本オペラ史上最高の人気作
今日1月30日は、團 伊玖磨(1924~2001)のオペラ『夕鶴』の初演日です。 作曲家のほかにエッセイストとしても名高い團 伊玖磨は、まさに昭和を代表する文化人といえそうです。その彼が手がけたオペラ『夕鶴』は、日本オペラ史上最高の成功作です。 木下順二(1914~2006)の戯曲『夕鶴』を台本とした内容は、名高い民話『鶴の恩返し』を題材とした美しくも悲しい物語。“戯曲の一語一句も変更してはならない”という木下からの条件を受け入れて臨んだオペラの完成は1951年。初演は翌1952年1月30日、大阪朝日会館において、藤原歌劇団によって行われています。 その後1957年にチューリッヒにおいて改訂版初演が行われたこのオペラの人気は高く、2022年までの上演回数は、なんと800回を超えるという大ヒットを記録。まさに、日本オペラ史上最高の人気作となっています。 有名な民話と美しい音楽の融合はもとより、1時間50分ほどの手軽な上演時間であることも、ロングセラーとなった秘訣かもしれませんね。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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