親族内承継の極意…ファミリービジネスを成功へ導く事業承継計画のスキーム【公認会計士が解説】
長年にわたり懸念されている、日本における中小企業の事業承継の問題。実際には、どのような手法で承継するのがスムーズなのでしょうか。今回は、ファミリービジネスにおける親族内承継の進め方について、具体的に見ていきます。メガバンク出身の公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
「後継者が確保できない…」日本の中小企業、多くが廃業に
日本では、多くの中小企業が後継者を定めておらず、これが廃業の増加につながるおそれがあります。経営者の高齢化が進むなかで、後継者の確保が困難な状況です。 事業承継は「経営の承継」と「事業の承継」の両面から考える必要があります。重い相続税の負担が事業資産の承継を難しくしており、事業の存続も大きな課題です。 事業承継の具体的な進め方としては、(1)まず経営環境を理解し、(2)次に後継者を選び、(3)最後に承継方法を決めます。後継者候補がいなければ、新たに育成するか、外部から招聘する必要があります。 人的承継では、経営権を引き継ぐだけでなく、見えない経営資源の承継も重要です。物的承継では、自社株や事業用資産の承継が問題となりますが、これには税負担の問題も伴います。 自社株式の評価は、財産評価基本通達に従います。この評価は、株主が経営支配力を持つかどうかに基づいて異なり、支配力がある場合は原則的評価方式、支配力がない場合は特例的評価方式が適用されます。経営支配力の有無は、株主及び株主グループの議決権割合と、他の同族株主の有無によって判定が異なります。 原則的評価方法では、会社の規模に応じて計算方法が異なり、類似業種比準価額と純資産価額を基に評価を行います。 特例的評価方式では、株主が受け取りを目的とする配当金に基づき評価が行われ、配当還元価額によって算出されます。これは、経営支配力を持たない株主に対して適用されます。
自己株式の「取得」と「処分」に関するプロセス
自己株式の取得と処分に関するプロセスは、事業承継、少数株主の整理、M&Aの対価、従業員持株会など様々な目的で利用されます。事業承継では、相続税の納税資金を確保するために自己株式の売却が行われることがあります。少数株主の整理では、経営支配権の確保のために自社が自己株式を取得することがあります。 自己株式の取得には手続き上の規制があり、すべての株主に平等な取引の機会を提供することが求められますが、特定の株主からの取得も可能です。取得に際しては、株主総会の決議を経る必要があり、取得枠や取引内容を定める必要があります。 自己株式の取得には財源規制もあり、分配可能額の範囲内での取得が基本です。これは債権者保護のために重要な規制であり、規制を超える取得を行った場合、取締役や株主には財務的な責任が生じる可能性があります。
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