紅白歌合戦のOPテーマも務めた、日本のインストバンド。シーンの現状や注目すべき存在を解説
fox capture planの功績
ここからは金子さんが、注目する日本のインストバンドを紹介。1組目に取り上げたのは、fox capture planだ。「日本のインストバンドのトップのひとつだと言っていい」と語る金子さん。その理由とは? 金子:さっき言ったインストフェスが、今年fox capture planが所属するレーベルとヴィレヴァンがやってたTOKYO INSTRUMENTAL FESTIVALの共催というかたちで、2月に「Instrumental Festival」として開催されます。fox capture planは、2010年代のインストを引っ張っていったポストロックとコンテンポラリージャズを融合させた現代版のジャズロックみたいなかたちで、音楽的にもカッコよくて。あと、劇伴の仕事を多くやってたっていうのがポイントかなと思っていて。彼らは『カルテット』や『コンフィデンスマンJP』、最近だと『ブラッシュアップライフ』などの劇伴をやっているんですね。それによって、いわゆる劇伴の作家じゃなくてインストバンドがドラマとか映画の劇伴を担当するっていう流れが生まれてきて。これは今までになかった動きなんですよね。 あっこゴリラ:そうなんだ。じゃあ、切り開いた方たちなんですね。 金子:それが行くところまで行ったのが、昨年末の『NHK紅白歌合戦』。彼らがグランドオープニングのテーマ曲と演奏を手掛けて、バンドのBGMも彼らが手掛けてるんですよね。だから日本の音楽のトップの場所まで行っちゃったっていう。これは日本のインストバンドのトップのひとつだと言っていいという気がします。 金子さんによると、日本のインストバンドは海外、とくにアジアでの人気もあるようだ。例としてあげたのは、インストメインのバンドである、台湾のElephant Gym。この1月に来日ツアーを開催した。 金子:彼女たちはLITEと前に北米ツアーを回ったことがあったりとか、去年出したアルバムには亀田誠治さんとTENDREが参加してたりとか、日本にゆかりがあるんです。日本のインストから影響を受けたアジアのバンドってすごくたくさんあるんですよね。そういうところが、またさらなる広がりをこれから生んでくれたらいいなって期待したいところですね。 金子さんは続いて、おすすめのインストバンドとしてIchikoroを紹介した。 金子:Ichikoroは川谷絵音さんがSNSでバズっていたギタリストのichikaさんに声をかけて、2018年に結成したバンドです。とにかくichikaさんが世界でバズっていて、YouTubeのチャンネル登録者数が260万人を越えて、(その視聴者のほとんどが)日本人以外だったりとか、単独でも海外に行きまくってるし、彼はSNSを通じて海外のバンド、2010年代以降で言うとPolyphiaってバンドとかCovetっていうアメリカのバンドとかも彼はつながりがあったりして、Ichikoroはバンドとして彼のプレイを生かした素晴らしい楽曲を生み出しています。