小林弘幸 便秘外来に来る男性患者は「60歳」を境に急増。<定年・還暦=終わり>のイメージが人にどんな影響を与えるのかというと…
◆日光のサルの教え そのためには、日光東照宮のサルになりきれば間違いなくうまくいきます。「見ざる、言わざる、聞かざる」という基本姿勢が必ず役に立ちます。 余計なものを見るから隣の芝生が青く見えて迷いが出ます。嫉妬や迷いの感情は自律神経を乱します。余計なことを言うからチャンスを逃したり後悔したり、余計なことを聞くから心配ごとが増えたり不安がつのったり……。結局「ゴーイング・マイ・ウェイ」が一番。 いい人生になるかどうかは、日光のサルに徹することができるかどうかにかかっています。他人の目ばかり気にしていると、自分を見失いかねません。 日光のサルの教えは究極の人生の過ごし方だと思っています。現役生活の間はなかなかそうもいかなかった方も、定年後はできない理由はないでしょう。
◆「定年」「還暦」という言葉に惑わされない 順天堂大学で便秘外来を開設してそろそろ30年になりますが、患者さんを診ていて明らかなことが一つあります。 年齢的には60歳以上の方が圧倒的に多いのですが、特に60歳を境に急に増える傾向があるのです。とくに男性は顕著で、私は「定年」が暮らしに影響して、便秘になる患者さんが増えているに違いないと思わざるを得ません。世の中から「定年」という制度がなくなれば、皆さんもっと生き生きとして、健康的になるのではないかと思います。 自律神経は気持ちの持ち方一つで影響を受けますが、この「定年」という言葉のイメージが、どうも自律神経にはよくないような気がしています。元気な方でも、この言葉のイメージにある意味洗脳されて、自動的に限界をつくってしまっているように思えて仕方ありません。 私も数年前に「還暦」を迎えましたが、この「還暦」というのも同じで、同級生たちを見ているとどうも寂しい感じがします。「俺ももう還暦だから、人生これで終わっちゃったな」とか「還暦過ぎたんだし、余生はゆっくり過ごしたい」など、どうも終わりの節目として使われているように思えます。
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