ピスタチオで「腎」を強化して足腰の冷えを改善する【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】 ピスタチオ ◇ ◇ ◇ 寒さがつのってくるこの季節、足腰が冷えて困っていませんか? シニアの「冷え」にはさまざまなタイプがありますが、とくに多いのはお尻、太もも、脚など下半身の冷え。加齢によって血管が細くなったり、ふくらはぎをはじめとする筋力が弱るため、脚の血液を心臓に送り返すのが難しくなり、血行が悪くなることが原因と考えられています。 過敏性腸症候群でもう悩まない(4)20代女性は食生活の見直しで職場復帰できた そもそも熱は筋肉から産生されるので、筋肉量の低下は冷えを引き起こす大きな要因でもあります。シニアの場合、体温維持機能も低下していますから、一度冷えるとなかなか元に戻らない傾向もあるのです。 「冷えは万病の元」といいますが、免疫力や回復力の低下、腰痛などのトラブルを引き起こします。とくに、冬に向けて風邪やウイルス感染対策が必要になってくるこれからの季節は身体を温めることはとても重要です。 中医学において、下半身の冷えは「腎陽虚」と呼ばれる状態と考えます。腎は、生殖機能・生命活動をつかさどる臓器。成長・発育・老化と関わりが深く、まさにアンチエイジングの要となる臓器です。腎が弱ると、下半身のトラブルが増加します。 腎陽虚は、腎の持つエネルギーのうち、身体を温める機能がとくに不足している状態を指し、足腰の冷えが多くみられます。また、脚のむくみ、足腰がだるい、腰痛といった不調や、トイレの回数が多く夜間に尿が増える、軟便や下痢をしやすいといった特徴も。 このタイプは、冬場に体調を崩しやすく、頭痛、腰痛、関節痛などの痛みが悪化する傾向もあります。冬になればなるほど、全身のトラブルだらけになるのを予防するためにも、早めの食養生を心掛けましょう。 おすすめはピスタチオ。ウルシ科に属する落葉樹に実り、ギンナンのような固い殻を割ると、鮮やかな緑色が特徴的なナッツです。香ばしくてまろやかな味わいで、おつまみとして、また幅広い料理やデザートに使えます。 薬膳において、ピスタチオは腎を強化して温める働きが高く、足腰の冷え改善によい食材。脚のむくみや頻尿対策にもおすすめです。また、お腹の冷えを改善する働きもあり、消化不良や下痢改善にも役立ちます。 その効能をあますことなく取り入れるには渋皮ごと食べるのがおすすめです。また、栄養学的にも疲労回復によいビタミンB2・B6や、むくみ・高血圧対策に役立つカリウム、骨の強化に効果的なカルシウムなどを多く含む、シニアにうれしいナッツでもあります。 ピスタチオの足腰の冷え改善効果を高めるには、同じく腎陽虚によいエビ、身体を温めるネギやショウガなどを組み合わせるとよいでしょう。 ■ピスタチオ高齢薬膳レシピ 桜エビとピスタチオのスープパスタ 下半身の冷えによいピスタチオとエビ、全身を温める働きのあるネギとショウガを組み合わせたレシピ。桜エビを使えば旨みのあるスープも完成します。ピスタチオとゆずこしょうの風味が相性ぴったり。 【材料】2人分 ●桜エビ 大さじ3 ●ネギ(斜め薄切り) 1/2本 ●ピスタチオ 20粒 ●ショウガ 1かけ ●オリーブ油 大さじ1/2 ●バター 5g ●A(しょうゆ=大さじ2.5、みりん=大さじ1/2) ●水 3カップ ●パスタ(袋の表示通りにゆでる) 200g ●塩・ゆずこしょう 適量 【作り方】 フライパンにオリーブ油とバターを熱し、桜エビとネギを炒め、水、A、ショウガのすりおろしを入れて3分煮たら塩で味を調え、ゆでたパスタを入れる。器に盛り、殻を取って荒く刻んだピスタチオをのせ、ゆずこしょうを加えて食べる。 (池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)