【不可解判定はなくならないか】五輪での“日本たたき”ルール変更の歴史、世界とのもう一つの戦い
ルールに「日本人の視点」入れる努力を
著者はスポーツのルールをめぐって日本と世界の解釈が違った場合、自分の主張を英語で説得できる人が少ないことが問題だと指摘し、次のように提言する。 <ほとんどの競技団体で欧米人が主流になっているのは事実だが、そうなれば欧米の発想をもとにしたルールが作られていくのは当然である。しかしそうなると、背が高く、動きの遅い選手に有利なルール改正につながっていく。バスケットボールのジャンプボールが恰好の例だが、背の低いアジアの選手はどんどん不利な条件に追い込まれ、ひいては競技自体の普及にも大きな影響が出る可能性がある。(略)高さより平面での動きを重視したルール改正の流れを作っていくことができるはずだ。それが見て面白い競技に発展することも十分にある。つまり、日本人の視点は、スポーツをおもしろくする可能性を持っているということなのだ> 同書が刊行されてから20年の時間が経過した。スポーツのルールはどう変化し、日本スポーツにどんな影響を与えたか。そして、今回の五輪をどう見ているのか。論客としても知られる著者の次なる著作を期待したい。
中島章隆