太神楽って何? ラッキー幸治70周年で曲芸をアピール
太神楽は日本独特のもの
太神楽って何? ラッキー幸治70周年で曲芸をアピール 撮影:北代靖典
太神楽曲芸師のラッキー幸治(76)が芸歴70周年を迎え「ラッキー幸治芸歴七十周年記念公演」を「国立文楽劇場小ホール」で開催する。豊来家一門総出演の芸術祭参加公演となっているが、それに先立ち、このほど記者会見が開かれた。ラッキー幸治は「太神楽は日本独特のもの。一門会としては初めての公演。太神楽はあんまりメジャーではないので、少しでも多くのお客様に観に来て頂きたい」と意気込みを語った。 【拡大写真と映像】人形遣いが楽しく語る文楽の魅力と思い 文楽劇場へ潜入
約400年の歴史を持つ神事芸能
「ラッキー幸治芸歴七十周年記念公演・豊来家一門会」は 10 月8日、国立文楽劇場小ホールで開催される。ラッキー幸治とその弟子たちの初の一門会で、第71回文化庁芸術祭参加公演でもある。記者会見は「港近隣センタ-」( 大阪市港区)で行われ、6人が登場した。 司会の豊来家板里が「我々一門、誰一人として記者会見の経験がございません(笑)。和やかに進めていければと思っています。一門会は何年か前から話がありましたが、師匠が芸歴70周年で、次を逃したら、次がわからないので、開催する運びとなりました。太神楽は関西ではうちの一門だけです」と挨拶。 ラッキー幸治は、1946年、太神楽曲芸師・豊来家宝楽(ほうらいやほうらく)に入門、豊来家幸治として舞台を踏んだ。東京で修業後、独立。大阪に移り、アクロバットジャグラーチーム「ラッキートリオ」を結成し、人気を博す。その後、長く途絶えていた豊来家一門を再興した。なお、太神楽(だいかぐら)とは、江戸時代、お伊勢参りがかなわぬ人々のため、神社の神官が各地へ出張し、獅子舞でお祓いをして曲芸で楽しませたのが始まりで、約400年の歴史を持つ神事芸能だ。
太神楽は日本独特のもの
70年を振り返って幸治は、「今回、お弟子さんたちが企画してくれましてね、太神楽というのはあんまりメジャーではないので、少しでも多くのお客様に観に来て頂きたい」と語った。土瓶の曲芸がいちばんの得意芸だという。 「6歳の時からやっている。師匠は浅草にいて、20歳の時まで師匠のところにいてました。21歳で独立して関西に出てきた。関西に来てから55年、東京で15年。今できること、やれることをやりたい。獅子舞と曲芸の二本柱で、一門会としての舞台は初めて。東京と大阪の太神楽に違いはないですが、11年前から豊来家を復活させて、活動しています」と話した。 弟子の豊来家一輝が「今後は個々の力を結集して古典芸能として、歴史と伝統がございますので、上方の地で少しでも根付かせていきたい。今回の公演がその第一歩となればありがたいです」と言えば、玉之助は「個性のあるお兄さん方がいっぱいいまして、師匠は個性を生かして育ててくれた。職人肌の師匠です。技術というのはすごい」 さらにラッキー舞(娘)は「私はお父さんが大好きで、ずば抜けた技術を持ってる師匠です。1人でも多くの方に知って頂きたい。ほんとに絶滅危惧種ですから」と笑って語った。 幸治は「太神楽は日本独特のもの。感動したと喜んで下さる。外国の方にも日本の曲芸は喜ばれる。70年続けて来て辞めたいと思ったことはない。やる以上は日本一になるのが夢だった。芸術祭参加公演ですが、賞が獲れたら、それはそれで嬉しい」と、締めくくった。 (文責/フリーライター・北代靖典)