トヨタ、不祥事でガバナンスイメージ失墜 ESGブランド調査
ガバナンスイメージスコア 不祥事は見逃されず 型式指定の認証不正の報道を受け、トヨタ自動車が454位に沈んだ。健康被害を引き起こしたり不正事件に関与したりした企業も評価を落とした。 【関連画像】■ ガバナンスイメージスコアの順位推移ベスト10 トヨタは2023年まで4年連続1位だったが今年は一転圏外に。*スターバックスはスターバックス コーヒー ジャパン **MUFGは三菱UFJフィナンシャル・グループ 約2万人の消費者やビジネスパーソンにESGの視点から企業のブランドイメージを聞く「ESGブランド調査」。5回目となる今回の調査で、最も大きく順位が変動したのが、企業の「ガバナンス」に関して消費者がどのようなイメージを持っているかを示すスコアだ。 1位には前回23位だった日清食品が、2位には同44位だったソニーが、3位には同139位だったニトリがランクインし、トップががらりと入れ替わった。日清食品、ニトリ、ネスレ、日本航空(JAL)、積水化学工業、日本経済新聞社の6社が初めてトップ10入りした。前回から2回続けてトップ10に入ったのは9位の全日本空輸(ANA)しかない。 下の表を見てほしい。2020年の調査開始から前回までトヨタ自動車が1位を維持してきた。しかも、スコアは120.1(20年)、105.7、(21年)98.6(22年)、103.7(23年)と、いずれの年も2位以下を20ポイント以上引き離していた。ところが今回はトップ10に入っていないどころか454位まで落下した。 ●自由意見に「不正」が並ぶ 2024年前半、自動車業界は型式指定の認証不正問題で揺れた。トヨタの豊田章男会長が会見を開いたのは6月3日で、ESGブランド調査の実施時期と重なっていた。それだけに、「法令を順守している」という項目をはじめとして、トヨタのガバナンスに対する評価は大きく下がった。 自由意見には、「不正」「虚偽」「違反」などの言葉が20件以上並んだ。中には、「ブルータス、おまえもか」という記者会見で豊田章男会長が発した言葉を記入する回答者もいた。 マイナスイメージの「法令を順守していない」の回答率は10.7%で断トツの1位だった。日本を代表する企業だけに不祥事報道にも注目が注がれる。 前回3位のホンダも同じく型式指定の認証不正の影響で順位を235位まで下げた。自由意見には「データ改ざん」「不正」「法令違反」の言葉が10件以上並ぶ。 前回10位だったサントリーも271位まで下げた。「法令を順守している」の項目が前回は10位(回答率11.5%)だったのに対し、今回は73位(同8.5%)に3ポイント低下した影響が主要因だと見られる。ただ、自由意見を調べても、トヨタやホンダのように問題点を明確に指摘するコメントはない。また、「株主や投資家へ適切に対応している」の回答率が1.4%で、平均の1.7%を下回っている。株式を上場していないことが影響している面もあるようだ。