トヨタ、不祥事でガバナンスイメージ失墜 ESGブランド調査
前回36位だった小林製薬は556位まで急低下した。「法令を順守していない」の回答率は7.1%で4位だった。自由意見には「紅麴」や「サプリメント」「健康被害」「不祥事」など紅麹原料を含むサプリメントの健康被害問題に関するものが46件も並んだ。 中古車販売の旧ビッグモーターによる保険金不正請求事件に関与した損害保険ジャパンも、前回の79位から557位に下げた。やはり自由意見には「ビッグモーター」の文字が12件並んだ。 一連の型式指定問題で最初に不正が発覚したダイハツ工業にも厳しい評価が下った。ガバナンスイメージは558位だった。「法令を順守していない」の項目で2位(同9.3%)、「経営トップのガバナンスに対する意識が低い」で1位(同7.2%)と不名誉な結果になった。 ●「法令順守」で評価する ここからは個別の項目を見ていく。下の表にあるように「法令を順守している」が圧倒的に重視されており、69.1%の回答者が選んだ。 この項目の1位はソニー(同11.8%)、2位はイオン(同11.3%)、3位は花王とパナソニック(同11.2%)、5位は全日本空輸(同10.8%)だ。ソニー、イオン、全日本空輸の3社はガバナンス全体のトップ10に入っている。全体1位の日清食品は法令順守で20位(同9.7%)だった。 次いで重視されている「経営トップがガバナンスに対する高い意識を持っている」のトップ3は、日本航空(同6.5%)、トヨタ自動車(同6.4%)、ソニー(同6.1%)だ。 法令順守で順位を下げながら、ここで2位になるのはさすがのトヨタだ。恐らく回答者がイメージしているトップは豊田会長だろう。社長時代の第1回調査では、同じ項目で2位の2.5倍に当たる13.8%の回答率を獲得していた。前回も11.2%で2位だ。 「危機管理が徹底していて不祥事が起きにくい」では、東京地下鉄(東京メトロ)が1位(同5.9%)で、日清食品、ネスレ、ホテルオークラの3社が同率の2位(同5.6%)を獲得した。 日清食品が上位に食い込んだのはこの項目だけだが、マイナスイメージの項目の数値を全体的に低く抑えた点がガバナンス1位につながった。ただ、同社は今回の調査期間後である8月22日にカップ麵の価格拘束で公正取引委員会から警告を受け、大きく報道されている。今後の対応いかんでは1年だけの天下になりかねない。 (「日経ESG」2024年11月号の記事を基に構成)
Nikkei ESG