【体験談】「マスコミに行きたい」 大学を再受験した仮面浪人のメリットとデメリット
仮面浪人のメリットとデメリット
大学に通いながら受験勉強をする仮面浪人の場合、再受験して不合格だったとしても、今の大学に通い続けられるというメリットがあります。「どこも行くところがない」という浪人生にとっての最大の心配がないので、精神的なプレッシャーを感じずにすみます。一方、デメリットとしては、経済的負担が大きいことや、通っている大学の授業の合間に受験対策をしなければならず、時間的に厳しいことが挙げられます。 我が家の場合、息子は一人っ子だったので、子どもが2人いると思うことにして経済的負担を受け入れました。息子自身も「今までためたお小遣いの中から受験料を支払う」と約束したことで、より責任感を持って受験に臨めたのではないかと思います。 大学の授業もあるので、まとまった勉強時間をどうやって確保するかが課題でしたが、中高時代からの習慣が役に立ちました。学校で自学自習の精神をたたき込まれていたので、周りの大学生が新入生気分を謳歌(おうか)する中でも、一人暮らしをしながら自分のペースで、図書館やカフェで受験勉強を続けました。
再受験は法政大1校にしぼる
再受験先に選んだのは法政大学で、経済学部や現代福祉学部など3学部を受験しました。志望校を1校に絞ったのは、受験対策をしやすいと思ったからのようです。その作戦が功を奏し、法政大学に合格することができました。 進学した法政大学経済学部国際経済学科は、多摩キャンパス(東京都町田市)にあります。息子が一人暮らしをしていた都心からの引っ越しは、繁忙期で業者が手配できなかったため、自家用車に洗濯機や冷蔵庫を積み込み、家族で行いました。引っ越してみると、それまで住んでいた都心より少し郊外のほうが、茨城県の地方で育った息子には合っていたようです。家族みんなでの引っ越しは大変でしたが、今となってはいい思い出です。 大学受験を終えて進学した大学が「本人に合わない」ということは、あり得ることです。私も息子から「仮面浪人からの再受験」を打診されたときはかなり戸惑いましたし、金銭面の負担は少なくありませんでしたが、何事も本人の意思を尊重したいと思い、応援してきました。息子が自分の人生を悔いなく生きていけるよう、これからも陰ながら支えていこうと思っています。
朝日新聞 Thinkキャンパス