【解説・衆院選】政権交代までいくのか? 与党で過半数維持はギリギリの情勢
伊佐治局長 「もう1つは政治資金制度ですが、企業からの献金は、政治家個人には禁止されましたが、政党あるいは資金管理団体に対しては可能であって、当初からザル法などと抜け穴が指摘されていました。このとき政党助成の制度も導入され、国民1人あたり250円の税金が政党に交付金として渡される仕組みができました」 「しかし今、派閥の裏金問題を受けまして、企業団体献金や政党交付金の使い道である政策活動費の廃止の問題など、30年前の改革では積み残されていた問題が、今、あらためて問われています」 鈴江キャスター 「当時の自民党の中でも改革案が出されていたものが進まずに今に至っていることが、今また表に出ているということですね」 伊佐治局長 「もう30年たってしまったんですね。過去の政権交代の歴史を振り返ってもう一つ、今と似た場面がありました。与野党が逆転する政権交代ではないですが、自民党内の『疑似政権交代』です。20年ほど前、当時の森内閣の支持率が落ち込みまして、次の国政選挙では負けるのではという危機感が生まれました。そこに取って代わったのが小泉純一郎首相でした」 鈴江キャスター 「進次郎氏のお父さんですね」 伊佐治局長 「高い国民の支持を受けまして、この小泉氏が最大派閥を破って勝ちました。同じ自民党内であたかも政権交代が起きたかのような感覚だったんですね。これが『疑似政権交代』と呼ばれました」 鈴江キャスター 「私は当時、大学生だったんですが、政治がぐっと身近になって、自民党が新しくなったような印象を受けたのを覚えています」 伊佐治局長 「渋谷の街頭演説など大変な人だかりでした。『刷新感』といったものがすごくあったと思います。以後、自民党では時の政権の支持率が下がると、疑似政権交代で首相の顔を変えて選挙を乗り切る手法が生まれました。今回も首相の顔を変えて刷新感を演出しようと石破首相を選びましたが、これが成功するかどうかも今度の選挙の注目点であります」