【解説・衆院選】政権交代までいくのか? 与党で過半数維持はギリギリの情勢
森圭介キャスター 「自民党と公明党が連立して与党をとるという動きはまったくなかったんですか?」 伊佐治局長 「今、自民党と公明党は組んでいますが、このときはまだ、そこには至っていなくて、自民党と実際に連立を組むのは6年後の1999年ことでした」 「自民党の首相に取って代わったのは当時・日本新党の細川代表でした。細川首相は政治改革を掲げ、さっそうとしたイメージもあって政界に新風を吹き込みました。ただ、政権交代した後の日本政治は落ち着きませんでした。連立した各党は経済・外交など基本政策に食い違いがありまして、政権内は常にもめていました。私も当時、国会で取材していましたが、日付をまたいだ夜中の記者会見などドタバタが何度もありました」 鈴江キャスター 「多くの党と連立となると基本政策がなかなか一致しなくて、重要政策がなかなか進まないということが起きていたんですね」 伊佐治局長 「政策は大事ですし、人の好き嫌いも結構ありましたね」
伊佐治局長 「そんな中、翌年の春には細川首相が政治と金の問題で辞任します。さらに与党内の亀裂も深刻になりまして、社会党などが離れてしまいました。後を継いだ羽田内閣ですが、過半数に足りない『少数与党』として船出しました」 山崎誠アナウンサー 「過半数に届いていなくても、政権は成立して担っていくわけですね」 伊佐治局長 「『少数与党』は過去にもいくつか例があります。ただ政権の足元が非常に弱っていますから安定しません。結局、羽田内閣は2か月で総辞職に追い込まれ、自民党が政権に復帰しました」 森キャスター 「慌ただしいというか、状況がめまぐるしく変わったんですね」 伊佐治局長 「このころは本当に大変でした。この時期に与野党の合意で成立した選挙制度、そして政治と金をめぐる改革、実はこれが今の日本政治の骨格を形作っています。まず選挙制度ですが、1つの選挙区で1人しか当選できない小選挙区制では、候補者を誰にするか決める党本部の力が圧倒的に強くなりました。一方でその権力が強くなりすぎて、首相官邸のおごりであるとか、ゆるみも生まれました」 「そして比例代表。この選挙制度ですけれども、小選挙区で負けた候補が復活当選するといったことへの違和感が続いています」 鈴江キャスター 「現状、今もこの制度ですよね」