なぜ人は同人誌を作るのか、”熱”狂の夏コミで何が起きていたか…「魂の自由がある」「憧れだった」
日本ほど「同人誌」が好きな国はない。それを裏付けるのが、同人誌即売会イベントの盛況ぶりだ。なぜ人は同人誌を作るのか。それが知りたくて、8月11、12日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた「コミックマーケット104(C104)」の1日を追った。
初日 カメラマン「熱気でレンズが…」
この日の最高気温は35・9度。
午前9時 東京ビッグサイトに到着。取材腕章をもらう。やぐら橋前の広場では開場待ちの参加者が多数座り込んでいる。
同10時半 C104開会。人気サークルの前にはたちまち長蛇の列。ただ、コロナ前に比べると人が7割程度なのと、入場チケットが3段階時間制なので混雑は緩和されている。人気ジャンルではスマホ向けソーシャルゲームが圧倒的に強い。
同11時 屋外駐車場から入場者の隊列が整然と東棟に吸い込まれていく。暑さで倒れ、救護室に運ばれる人もいる。
同11時15分 セーラームーンに扮(ふん)した筋肉美の男性を撮影する。「フランス人です。住まいは埼玉県だけど」
正午 東展示棟から企業ブースが集中する西・南棟に移動。西棟屋上コスプレエリアでは猛暑の中、人気コスプレイヤーの前に撮影者の列ができていた。
午後0時半 カメラマンと合流するため東棟に戻る。20分以上も炎天下を歩くハメに。
同1時 東棟1・2・3ホールのキャットウォーク(高さ約30メートル)から会場撮影。地上からオタクの熱気が立ち上ってくるようだった。カメラマンは「湯気でレンズが曇るかも」と本気で心配していた。
同2時 知人(37)のサークルで売り子の手伝い。少し関わった同人誌なので、買ってくれる人がいるとドキドキする。
同3時 近くの机で、京都から初参加したA子さん(36)が地元商店街で描いた黒板イラストの本を売っていた。感想を聞いてみた。「コミケにサークル参加するのは憧れでした。黒板イラストがたまってきたので、本にしたら喜んでもらえるかなと思ったんです。すごく楽しかった! 遠方のファンもたくさん来てくれたし、この時間が終わってほしくないくらい」