なぜ人は同人誌を作るのか、”熱”狂の夏コミで何が起きていたか…「魂の自由がある」「憧れだった」
同4時 第1日閉会。拍手で締める。180冊売り上げた知人は「新記録」と上機嫌だった。
2日目 64か国・地域から来場者
この日の最高気温は35・5度。
午前9時半 漫画編集者の鳥嶋和彦さん(71)が来場していた。鳥嶋さんは「週刊少年ジャンプ」編集者時代の1983年、当時のコミケをルポして同誌で特集したことがある。
――今のコミケをどう見ますか?
「昔の方が会場が小さかったから熱気はあったけれど、最近のコミケは運営がきれい。ボランティアスタッフの能力はすごい。最近、独デュッセルドルフのDoKomi(ドコミ)というイベントに行ったが、世界中に増えたポップカルチャーイベントは全部コミケがお手本。ある種の文化の土壌を作ってきたのはコミケだってことを、国や企業はもっと考えてほしいね」
同10時半 2日目開会。本日は知人サークルの売り子に徹する。座っているだけで暑い。
正午 昨日に比べ売れ行きが鈍い。「立ち読みしていってください」と懸命に声をかけるがあまり効果がない。本日は「男性向け」サークルが多い。人がそこに吸い取られているのか。
午後2時半 牧村えりんさん(57)の美少女イラスト本を買う。82年頃からサークル参加している古参だ。「年2回、ここに来ると懐かしい人に会えますからね」。
同3時 準備会による「今日のご予算は?」というアンケートが東館に貼ってあった。参加者が自由にシールを貼る仕組み。2万~3万円にシールが集中していたが、10万円以上と答えた人もかなり多くて驚く。
同4時 全日程終了。粘ったら最後の10分間で5冊売れた。椅子や机を片付けて撤収。準備会によると、2日間の参加者数は計26万人。64か国・地域からの参加があった。参加サークル数は2万4000。
同6時 知人と打ち上げ兼反省会。計230冊が売れた。そこそこもうかったかと思いきや、「売値の9割は印刷所への支払い」と知人。他に参加費もかかるので、完売しても利益はほとんど出ない。なのに、なぜ同人誌を出し続けるのか?