愛する40代息子に「がん」宣告…ショックを受けて泣き崩れる70代父「治療費が心配」FPが優しく回答
がんの「先進医療」の実情
インターネットやSNSでは、がんの「先進医療」の情報や患者体験談を見かけることもあります。 特定の大学病院などで研究・開発された難病などの新しい治療や手術などは、ある程度実績を積んで確立されると、厚生労働省に「先進医療」として認められます。 先進医療は、公的医療保険の対象にするかを評価する段階にある治療・手術などです(「公益財団法人生命保険文化センター」ウェブサイトより)。 先進医療として比較的よく知られているのは、放射線治療の「陽子線治療」、「重粒子線治療」、内視鏡手術支援ロボット・ダヴィンチを使用した患部の切除手術「ダヴィンチ手術」などです。 陽子線治療は、水素の原子核を加速した陽子線をがんの患部に照射する方法で、重粒子線治療とは、炭素の原子核を加速させた重粒子線をがんの患部に照射する方法です。どちらも粒子線を使う治療法なので、ピンポイントで病巣に照射することができます。照射の回数が少ないため、身体への負担が少ないというメリットがあります。 先進医療は、治療効果に関する科学的証拠が少なく不確実な医療とされていることから、健康保険の対象外です。それゆえ、治療そのものは全額自己負担となり、たとえば、重粒子線治療の場合、1件あたり300万円と高額な費用がかかります。 しかし、先進医療の医療費は、一般的な自由診療とは異なり、確定申告の「医療費控除」の対象となります。
がん保険、必ずしもメリットばかりとはいいきれない
がん保険に入っていれば、診断給付金、入院給付金、手術給付金、通院給付金がもらえます。また、先進医療特約がついていれば、先進医療の医療費も全額カバーしてくれます。 しかし、高額な先進医療の費用をカバーができるといっても、そもそも自分に適用できる先進医療の治療法と出会う確率はそこまで高くありません。さらに、仮に適用できるものが見つかっても、100万円を超える先進医療はあまり多くはないのです。 また、がん保険では、差額ベッド代や、厚生労働省が定めていない自由診療の医療費に関しては、カバーされません。 がん保険は保険料がとても高額であり、払い損になってしまう可能性が高いため、がん保険に加入を優先するよりは、ご自分でお金を貯めておいたほうがいいでしょう。 岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)
岸田 康雄
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