マツダの至宝「ロータリーエンジン」 自動車マニアではない一般人に魅力をどう伝えるべきなのか? 元ディーラーが考える
マツダの独自性
「ロータリーエンジン」と聞いてピンとくる人は、クルマに多少なりとも興味がある人だろう。しかし、その多くは「スポーツカー」「燃費が悪い」というイメージを持っている。 【画像】画面ちっさ! これが40年前の「カーナビ」です(計9枚) しかし近年、ロータリーエンジンを取り巻く環境は大きく変化している。今回はその歴史を振り返るとともに、販売面から今後のシナリオを予測してみたい。 ロータリーエンジンは、日本の自動車メーカーのなかで唯一マツダが開発・採用しているエンジンである。このエンジンを搭載したクルマというとRX-7のイメージが強いかもしれないが、実は1967(昭和42)年のコスモスポーツまでさかのぼることができる。 そこから、 ・ファミリア ・サバンナRX-3 ・RX-7 など数々の名車に搭載されてきた。後述する2度の危機に直面しながらも、歴史の荒波を乗り越えてきた強力なエンジンといえるだろう。
ロータリーエンジンの特徴
ロータリーエンジンの歴史は古いが、通常のエンジンと比べてどのような特徴があるのだろうか。クルマ好きなら知っているかもしれないが、一般の人は知らないかもしれない。筆者(宇野源一、元自動車ディーラー)は、ロータリーエンジンには次のふたつの特徴があると考えている。 ●コンパクトで高出力 通常のエンジン(レシプロエンジン)に比べて効率が高い。一般的にエンジンは、吸気、圧縮、燃焼、排気の四つの工程を経て、クルマを駆動する力を生み出す。レシプロエンジンは、ピストンを2往復上下させることでこの四つの工程を行う。 ロータリーエンジンは、おにぎり型のローターを回転させることで四つの工程を行い、ローターが1回転するだけですべての工程が完結する。効率がよいだけでなく、同じ出力を出すという前提でエンジンサイズを考えると、レシプロエンジンよりも小さい。スポーツカーにとって、「エンジンサイズが小さい = 軽量化」ということであり、ロータリーエンジンは理にかなった選択なのだ。 ●壊れやすい コンパクトで高出力を出せるが、寿命が短い。使い方にもよるが、レシプロエンジンの半分から7割程度で寿命を迎えるものもある。また、オイルのメンテナンス間隔はレシプロエンジンよりも短いことが推奨されているため、頻繁なオイル交換が必要となる。つまり、レシプロエンジンと同じ感覚で使用すると故障のリスクが高まるのだ。