わずか1年4カ月で300万アカウントを突破、三井住友「Olive」を生んだ3人の男たちの“秘話”
■ポイント経済圏の脅威に Oliveの特長はフレキシブルペイのカードに加えて、スマートフォンのアプリ1つで口座の管理から決済、証券、保険、そして家計簿や旅行といった非金融サービスに至るまで、さまざまなサービスをシームレスに利用できる点だ。 さらに、これまでの銀行系アプリと大きく違うのはポイントを導入したことだ。 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と資本業務提携を締結し、CCCが展開していたTポイントと、OliveのVポイントを統合。VISAの加盟店も加えて国内750万、世界1億店舗でポイントをためて使うことができるようにしたのだ。
「トントン拍子にトップ同士の話が進んだ」(関係者)というが、これはポイント経済圏を展開しているグループにとっては大きな脅威と映る。 ただ、経済圏内でのポイント利用を促し顧客の囲い込みを狙ったプレーヤーとは、一線を画す。「個人や法人のお客様に決済やカードなどさまざまな形で利用してもらい、グループ内にお金が滞留してくれればいいと考えている」(三井住友)というのだ。 サービス開始からわずか1年4カ月で300万アカウントを突破するほどの人気ぶりだが、これは結果的に三井住友にもう1つ大きな効果をもたらしているとみられる。
というのも金利がある時代に突入し、各行が高い金利をつけて必死に預金を集めているさなか、金利をほとんどつけずに済み、コストがかからない決済性預金が集まってくることを意味するからだ。 既存の銀行の挑戦は、異業種参入組の勢力に対抗できるのか。これからが見ものだ。 =敬称略=
田島 靖久 :東洋経済 記者