岸田総理「派閥解消」の次の一手は「6月の会期末解散」である理由
双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦が1月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。自民党による「政治刷新本部」の中間とりまとめについて解説した。
自由民主党「政治刷新本部」中間とりまとめ、1月25日決定へ
自民党は派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受けて、派閥はカネと人事から完全に決別するなどとした中間とりまとめを1月25日に決定する。 飯田)刷新本部の会合を連日開いており、骨子案のようなものが出ていますが、どうご覧になりますか?
宏池会解散までやられてしまったら、これ以上踏み込めない
吉崎)派閥を解散すればすべて上手くいくのかと言うと、そうではないですし、「派閥を解消しても、また違う形で元に戻るのでしょう?」という思いはあります。しかし一方で、あの岸田さんが大好きな宏池会を自分の手で解散した。あのようなものを見せつけられたら、「落とし前はつけた」という感じになります。まるで不祥事を起こした企業が、「みんなが思っていなかったような、すごいけじめのつけ方」を見せたようで、何となくひるんでいる。いまは「これ以上踏み込めない」という感じなのだと思います。 飯田)「そこまでやって欲しかったわけではない」と、周りが引いてしまうような。 吉崎)「そこではないだろう」と思いながらも、「そこまでやられてしまったら……」というのが現在の雰囲気ではないでしょうか。 飯田)18~19日辺りからガラッと空気が変わりました。それまでは刷新本部を立ち上げて「何となくお茶を濁すのではないか」と思っていましたが、岸田さんが「スパーン」と言いましたものね。
「広島愛」と「宏池会愛」が強い岸田総理が「解散」を決めた
吉崎)やはり“広島県”という濃密さがあります。宮澤一家と岸田一家は親戚なわけではないですか。 飯田)宮澤喜一さんとか。 吉崎)しかも宏池会ができた1957年は、岸田さんが生まれた年です。だから思い入れが他の人と全然違うのですよ。 飯田)“池”という字がついている通り、池田勇人さんを総理にしようという会ですよね。池田元総理は広島出身です。 吉崎)広島のなかでも、宮澤家は福山市ではないですか。池田さんは竹原市と言う備後の国なのです。安芸国はあまりいません。広島市出身の総理大臣は加藤友三郎氏以来なのです。だから地元愛が詰まっているし、宏池会愛が詰まっている人だと思います。 飯田)また、安芸と備後は旧国名で、やはり違うのですね。 吉崎)極端な話、備後の人たちからすると、「なぜ広島市ばかりに注目が集まるのだ」という思いが少しあるらしいです。 飯田)「うちからは総理として池田勇人も出ているし、宮澤喜一も出ているではないか」と。 吉崎)広島市から見ると「とうとう、うちの町から出た」という気持ちなのでしょう。……本当は渋谷区生まれですが。 飯田)岸田総理ご自身はそうですよね。でも、それだけ地元愛や宏池会愛が強い。その愛情は宏池会のなかでも強い方なのですか? 吉崎)比較にならないくらいだと思います。