反捕鯨団体シーシェパードの船になぜ「日本人女性」が乗っていたのか?手記で明かした真意とは
〈5.「調査」と称した商業捕鯨である調査捕鯨を開始して以来、一度も調査・研究成果を発表していない〉 この主張の根拠は不明だが、調査捕鯨がはじまってから20年ほどの間に、300本を超える論文が作成され、IWCなどに提出されたり、査読付きの印刷物に掲載されたりしている。 〈6.倫理的理由:20~30分もの苦しみの後に死に至る、残虐である(家畜をこのように殺したら、逮捕される)〉 〈7.60年前には、45ヵ国が常に南極海で捕鯨をしていたが、現在は日本だけだ〉 〈8.クジラを絶滅させることは、世界中の海の生態系を壊すことになる、ひいては人類滅亡に繋がる〉 〈9.(水銀などに汚染された)クジラ肉の需要を作るために、助成金を出し日本各地に「くじらの町」を作ったり、無理矢理学校給食として子供に食べさせている〉 彼女の主張には、同意できる部分もある。それは、1950年生まれの彼女が、環境保護を意識するようになったきっかけだ。
● シーシェパードからの回答は 「日本は違法な捕鯨を続ける海賊国家」 彼女は1970年代前半の公害問題や、田中角栄の「日本列島改造論」という名の環境破壊と大量消費が生み出した経済成長に強い違和感を抱いたという。 私も彼女と同世代だったら、きっと同じような懸念や憤りを感じていた気がする。また経済成長に不都合な事実はマスコミに自主規制されたという指摘も理解できる。 いま彼女は、日本の捕鯨にどんな考えを持っているのか。すでに休刊した『THE ART TIMES』の関係者に問い合わせた。彼女は以前、野毛で飲み屋を営んでいたが、ずいぶん前に海外に移住してからは音信不通らしい。 2000年代に活発に活動していた反捕鯨団体はいま、何をしているのか。現在は沈静化しているが、過去の妨害活動をどう振り返るのか。 私は2024年4月、シーシェパードの事務局にメールで質問を送り、インタビューを依頼した。返信は期待していなかったが、意外にもシーシェパードの反応は早かった。その日の夜には返事がきていたのだ。 ひとつ目の問いが、調査捕鯨の終了と令和の商業捕鯨再開をどう受け止めているか。シーシェパードは次のように回答した。