センバツ2024 岡山・創志学園が“春切符”(その1) 7年ぶり 総合力で初戦突破へ /岡山
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会が26日、大阪市北区の毎日新聞大阪本社オーバルホールで開かれ、創志学園(岡山市北区)の7年ぶり4回目の出場が決まった。総合力の高さを武器に2016年以来の初戦突破を目指す。21世紀枠の中国地区候補校だった岡山城東(同市中区)は選ばれず、20年ぶりの甲子園出場はならなかった。組み合わせ抽選会は3月8日。大会は兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で同18日に開幕する。 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち その瞬間が来るまで、岡山県赤磐市多賀の同校赤坂グラウンドには普段通りの光景が広がっていた。午後4時6分に選考委員会総会で学校名が読み上げられた時、選手はフリー打撃の真っ最中だった。 約2分後、ウェブ中継を見届けた今井康好校長がグラウンドを訪れると、ようやく練習を止めて集合。「中国地区代表として選ばれました」と吉報を伝えられると、豊島虎児主将(2年)が「スローガンの『アグレッシブベースボール』を全国の舞台で発揮できるよう頑張ります」と決意を口にした。 東海大相模(神奈川)の監督として春3度の優勝経験を持つ就任2年目の門馬敬治監督は、選手たちに「いつもの一日をしっかり積み重ね、もっと強いチームを作っていこう」と語りかけた。だが、今井校長とウェブ中継を見た時の思いを問われると、「私もいつもの一日と思ってグラウンドに来たが、名前を呼ばれた瞬間は……涙が出ますよ」。豊富な指導経験の中でも、特別な瞬間だった。 昨秋の県大会は決勝で岡山城東を退け、3年ぶりの頂点に。中国大会でも決勝まで勝ち上がった。左腕の山口瑛太(2年)、右腕の中野光琉(ひかる)(同)の両投手が2枚看板。打線は勝負強い豊島主将や杉山大宙選手(同)、亀谷理仁選手(同)を中心に、バントなどの小技も絡めて効率よく得点を重ねてきた。豊島主将は「一戦必勝で全国制覇を」と力を込める。 7年ぶりの春に向け、門馬監督は「目の前の一日、そして目の前の戦いを全力でいつも通りに」と強調した。「いつも通り」を積み重ねた先に、栄光が見えてくると信じている。【平本泰章、山口敬人】 ◇号外手に「決定」実感 保護者会メンバーら 創志学園のセンバツ出場決定を伝える毎日新聞の号外が26日夕、岡山県赤磐市の同校赤坂グラウンドで配布され、選手たちの祝福に訪れた保護者会のメンバーらが次々に手に取った。「全国制覇へ一球入魂」などの見出しが躍る紙面に目を通した同会の佐古浩二会長(53)は「出場決定の実感がわいた。けがなく本番を迎えてほしい」。野球部マネジャーの森田順葉さん(2年)も「みんな必死にがんばってきた。本当にうれしい」と笑顔だった。 ◇岡山城東 出場ならず 21世紀枠候補 岡山城東は21世紀枠の地区候補校に岡山勢として初めてノミネートされたが、春夏6度目の甲子園出場はならなかった。野球部員たちは校内のグラウンドに集まり、田村繁樹校長から選考結果を伝えられると冷静に受け止め、「夏」に向け気持ちを切り替えていた。 戸田英樹監督は「落胆は全くない。いい経験をさせてもらった。(候補校選出で)練習でもモチベーションが上がった」と強調。伴涼大主将(2年)は「残念という思いはあるが、夏の甲子園に向けて気持ちを切り替えたい。文武両道で学業にも部活にも力を入れてやっていきたい」と決意を新たにしていた。 岡山城東は県内有数の進学校で、少ない練習時間を効率的に使い、チーム力を強化。昨秋の岡山県大会で準優勝し、17年ぶりに中国大会に進出した。【石川勝己、来住哲司】