在宅での「看取る医療」の大切さ 医療法人「優和会」理事長 松永平太
黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「黒木瞳のあさナビ」(3月13日放送)に医療法人「優和会」理事長の松永平太が出演。長寿時代の地域医療について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「黒木瞳のあさナビ」。3月11日(月)~3月15日(金)のゲストは医療法人「優和会」理事長の松永平太。3日目は、穏やかな死への医療について― 黒木)松永先生の『笑って、食べて、愛されて 南房総、在宅看取り奮闘記』という本を読ませていただきましたが、世界一幸せな国はフィンランドなのですね。幸福度と言うのですか? 松永)そうですね。 黒木)日本は何と50位前後です。 松永)日本は世界一長寿の国であり、しかも平和で、世界が憧れる国なのです。にもかかわらず日本人は一生懸命、足りないものを探しては不平不満を言う国民になっている。つまり、幸せを感じられない国民になっているのです。幸せとは何かと言うと、自分の身の回りに落ちていて、それを拾い上げ、かみしめることです。その部分ができていないのだと思います。自分の幸せに気付いていないのですよね。 黒木)北欧は幸福度の高い国が多いのですが、勉強に行かれたのですか? 松永)そうですね。寝たきり老人がいない国です。死ぬ過程においては、1週間ぐらい寝たきり状態になるのですが、そこからスッと逝ってしまう。おそらく日本の場合は延命処置が上手いのでしょうね。2~3年ほど長生きできる国なのです。日本にとって医療は、死と戦うものだった。 黒木)日本の場合。 松永)その結果、世界一の長寿国になったのですが、そのまた向こうにある死というものが受け入れられにくい国になってしまった。さすがに長寿世界第一位になると、医療の光と影、影の部分に気付くようになりました。最近では、例えば緩和医療ですね。私が初めて看取った患者さんは70歳ぐらいのおじいちゃんでした。呼吸が止まったことを上級医に伝えたら、その上級医が走るので、私もそのあとを追いかけて人工呼吸器につなぎ、いけるところまでいきました。死が敵なのです。 黒木)なるほど。