「クオリティは二の次」「芸術性は必要なし」!若者たちに大流行中の「1分ドラマ」の作り方
前編記事『ドラマで1時間はもはや長すぎる!?…なんと1話1分!Z世代で大流行している「ショートドラマ」一見のススメ』で見たように、いまZ世代の若者たちの間で「超ショートドラマ」が大流行中だ。1~3分しかない尺の中で、どのように物語を作るのか?脚本家に聞いてみた! 【マンガ】首席なのに選抜クラスに入れない...首都圏の中高一貫名門校の残酷な格差
複雑な演技はむしろ邪魔!
ショートドラマはいったいどのように作られているのか。制作を手掛ける株式会社POPBORNの脚本家・米澤直史氏に話を聞いた。 「まずなによりも『分かりやすさ』が大切です。1分で見せなくてはいけないので、起承転結は必ず守ります。最初の1秒でいかに惹きつけるかが勝負。女性が男性をビンタしているシーンから始めたり、『好きです!』と告白するところから始めるのはよくあるパターン。 その後、実はビンタをした女性のほうも浮気をしていたなどの『どんでん返し』を入れる。構成はベタでいいので、難しい脚本を書いている感覚はありません」 スマホの小さな画面を想定して作るので、複雑な演技や、凝った舞台セットも不要だという。 「俳優ひとりの顔くらいしか映らないので、背景を作り込む必要はありません。最悪ボカせばいい。 演技は表情から喜怒哀楽がわかれば十分。もっとわかりやすくするためにエフェクトを入れて頬を紅潮させたり、ハートマークを散らしたりします。複雑な演技はむしろ視聴者の理解を邪魔する障害になります」(同前)
映画やドラマをファストフードのように
著名な演出家が見たら憤慨しそうな作り方だが、そもそもショートドラマは、映画やテレビドラマとは成り立ちが異なるため、問題ないという。 「ショートドラマの仕掛け人は、制作ではなくマーケティング分野にいる人が多い。そのため『いかにクリックしてもらうか』を目的に作られています。 良い作品を届けることが目的である映画などとは別物と考えたほうがいいでしょう」(同) 前出の金氏も、ショートドラマに芸術性は不要だと語る。 「映画やドラマのプロが作った作品でも、ショートドラマの特徴に合わないと人気は出にくい。 視聴者が求めているのは、高いクオリティではなくファストフードのように、瞬間的に楽しさを得られ、暇つぶしができる作品です。だから制作会社はシステム化し、質より量を競ってショートドラマを作っている」