ドイツに敗れたバスケ男子日本代表、指揮官トム・ホーバスは「オフェンスを止める事が出来なかったのが敗因」と分析
永遠の課題だったリバウンドでドイツを上回る快挙
バスケットボール男子日本代表はパリオリンピックの初戦でドイツ代表と対戦したが、後半に失速し77-97で敗れた。日本バスケットボール協会(JBA)が試合後のコメントを発表し、指揮官のトム・ホーバスは以下のように試合を総括した。 「結果は残念ですが日本のバスケットを見せる事は出来たと思います。ドイツと戦ったこれまでの2試合(ワールドカップと強化試合)はハーフタイムで大きなリードを奪われましたが今日は前半は接戦に持ち込めたのはポジティブに捉えています。スタッツ上でリバウンドも勝っているしスリーポイントパーセンテージも悪くはないのですが後半に相手オフェンスを止める事が出来なかったのが敗因」 昨年のワールドカップで対戦した時は前半で22点のビハインドを背負い、7月20日の強化試合でも前半で25点差をつけられた。ホーバスヘッドコーチが言うように、前半を8点差で終えた(44-52)ことは成長の証と言える。また、渡邊雄太が復帰したことで八村塁、ジョシュ・ホーキンソンが揃った日本は高さの面でも進化を見せた。全員がボックスアウトを行いディフェンスリバウンドを確保すると、4本のオフェンスリバウンドを獲得した吉井裕鷹を筆頭にボールへの執着心やティップアウトによってポゼッションをもぎ取り、リバウンド数は39-36で上回った。永遠の課題だったリバウンドでドイツを上回ったことは歴史的快挙だ。 3ポイントシュートは34本中12本成功(35.3%)と及第点だったが、前半は40.0%と目標値を記録。ホーバスヘッドコーチが言及したように、インサイドファイトが効いたことで後半の失速に繋がったのだろう。予選リーグ突破のためには得失点差も重要になってくるため、主力を出し続ける必要があったが、先発インサイド陣の3人のプレータイムが約35分と偏ったことがガス欠を引き起こしたとも言える。特にフランス戦はトランジションの質と量をより高める必要があるため、どれだけタイムシェアができるかが一つの注目ポイントとなる。 河村勇輝はパリオリンピックに照準を当てて様々な選択を行ってきたこともあり、「パリオリンピックは自分が目標としていた舞台だったので、コートに立ちプレー出来た事は嬉しかったです」と一定の喜びを示した。それでもプレーに関しては「今日のゲームでは簡単なターンオーバーがあったり、ポイントガードとしてゲームコントロール出来ない時間帯があったのは反省点です」と、いつものように自身のネガティブな面について言及した。 先発ポイントガードとしてチームを引っ張った河村は、25.23分のプレータイムで3本の3ポイントシュート成功を含む11得点を記録。また、フランツ・ワグナーの股を抜く技アリのパスを披露し、ホーキンソンのイージーシュートを何本もお膳立てするなど、チームトップの7アシストをマークした。 しかし、ターンオーバーもチームワーストとなる5本を数え、最終クォーター序盤には連続でファウルを犯してしまい、ベンチに退かざるを得ない状況に陥るなど、ゲームコントロールができなかったことを悔やんだのも頷ける内容だった。 会場では日本を応援する声が響き、ドイツに対してブーイングが起こるシーンもあった。河村がアンスポーツマン・ライク・ファウルを誘発した場面ではひときわ大きなブーイングが起こったが、それはW杯王者に必死に食い下がる日本の雄姿がそうさせたのだろう。河村は「日本以外の方も僕たちのプレーに拍手してくれるなど応援を感じながらプレーしていました」と、観客の後押しを実感していたようだ。 次戦はビクター・ウェンバニャマとルディ・ゴベアの『ツインタワー』を擁するフランスが相手。これまで以上に平面でのバスケットを強調する必要があるため、河村が縦横無尽にコートを駆け回り、世界を驚かせてほしい。
バスケット・カウント編集部