話題の「スズキ・フロンクス」を徹底解剖! ライバルにはないアドバンテージを探る
コンパクトSUVの勢力図が変わる?
ついに正式発表された、スズキの注目SUV「フロンクス」。すでに試乗も済ませ、関連記事もたくさん書いて、もうとっくに発売されたようなつもりでいたけど、それは単に筆者の錯覚だったようだ。実は一昨日(2024年10月16日)が正式発表でした(笑)。 【写真】「スズキ・フロンクス」の外装・内装を詳しくチェックする(60枚) ところで読者の皆さんは、ボディータイプ別に見ると(軽自動車を別にすれば)今の日本で新車販売が最も多いジャンルはどれか、ご存じでしょうか? セダンじゃないのは当然としても、ミニバンでもハッチバックでもない。答えはそう、SUV。今日では販売される新車の3台に1台がSUVで、なかでも最も販売ボリュームが大きく、激戦区となっているのがコンパクトSUVクラス。そしてフロンクスもまた、全長4mを切るコンパクトSUVというわけです。 ちなみに、日本で買える国内メーカーのSUV(軽自動車は除く)のうち、全長4mを切るのはフロンクスのほかには、同じくスズキの「ジムニーシエラ」と「クロスビー」、そして「ダイハツ・ロッキー」とその兄弟車である「トヨタ・ライズ」だけ。販売的にはロッキー/ライズの独壇場だったこのカテゴリーに、ついに刺客が登場したというわけなのですよ。コンパクトSUVというジャンル全体で見ても、ロッキー/ライズ連合や最大派閥の「トヨタ・ヤリス クロス」、こちらも人気の「ホンダ・ヴェゼル」に、フロンクスが挑戦を仕掛ける……そんな図式が避けられないわけです。 さっそくフロンクスを各ライバルと比較していきたいところですが、その前に、そもそもフロンクスとはどんなクルマなのかを確認しましょう。まずは以前のプロトタイプ紹介やプロトタイプ試乗記にはなかった新着情報からお届け。要するに、価格と装備とグレード構成です。
高機能なナビが付いての、このお値段
価格は、FF車が254万1000円で4WD車が273万9000円。ボディーカラーを除くと、メーカーオプションも一切ないシンプルな展開となっているのは、フロンクスがインドからの輸入車であり、「日本向けは最上級仕様のみ」だからだ。なかには「期待したほど安くないな、スズキなのに」と感じた読者諸兄もいるかもしれません……が、ちょっと待った! 注目すべきはその仕様で、フロンクスにはナビがデフォルトで付いているんですよ。だから、“見た目の価格”が気持ち高いんです。 全車に標準装着となるこのナビは、9インチディスプレイで全方位モニター(360度カメラ)まで備えた高機能タイプ。同じく同社のコンパクトカーである「スイフト」であれば、約25万円するタイプです。どうせ皆さんもナビは付けるでしょうし、フロンクスの価格感は実質、お値段230万円からの他社製品と同等……と言っていいでしょう。 ちなみに、このナビにはテレビチューナーは組み込まれているものの、そのアンテナはディーラーオプション(ほかのスズキ車ではナビとセットで車両に組み込まれる)。なぜかというと、「インドのサプライヤーではアンテナをガラスにプリントできなかったから」……というのはここだけの内緒としておいてください。まぁとにかく、前席シートヒーターもワイヤレス充電器も付いているし、フロンクスは「一通り欲しい装備が付いての、このお値段」とお考えください。 そんなフロンクス、ライバルといえば先に述べたとおり、ロッキー/ライズにヤリス クロス、ホンダの「WR-V」やヴェゼルあたりとなるわけです。「日産キックス」も気になるところですが、このクルマは日本仕様だとハイブリッド専用車で、マイルドハイブリッドのフロンクスより価格がずいぶんお高いので、ここでは忘れましょう。一応お伝えしておくと、キックスの価格は308万3800円からです。