ラグビーW杯直前マッチで主力2人が故障し南アに完敗の日本代表は本当に世界と戦えるのか?
蹴ったスタンドオフの田村優は、このように応じる。 「(キックを追いかける選手の数が)1枚足りなかったので、(実際とは)逆側に蹴ればよかったです。(枚数不足は)気づいていましたけど、(追った選手が捕球した相手をタックルで)止めてくれると信じていました」 日本代表はその後もコンテストキックを蹴った。そこには、前述した相手防御の激しさも絡んでいると田村は言った。 「相手の蹴ったコンテストキックから(捕球後に)1フェーズくらいでトライを取りたかったんですけど、(接点で)球出しが1秒くらい遅れ、空いているドア(攻めるべきスペース)が閉まり…。(パスがつながって)抜けているシーンも何本かあって、あれが僕たちのやりたかったこと。コンテストキックを蹴っている時は、自分たちのやりたいことができていない時でした」 以後は、逆に南アフリカ代表が日本代表のウイングが孤立する箇所へ何度もコンテストキックを蹴る。 「キックでもポゼッションを取る。それに挑戦してみたかった」とは、南アのマシー・エラスムスヘッドコーチ。ターゲットにされたウイングの松島幸太朗は、こう振り返った。 「自分たちの弱いところを着実に狙ってきた。僕がキャッチして、周りに誰もいないというところがあった」 ワールドカップ本番での対戦国もコンテストキックをよく蹴ると見て、「キックプランに向けての細かい部分は(これから)詰められる。ここで課題(が出たの)はよかった」とインサイドセンターの中村亮土。詳細は「言わないです」。松島の談話を汲めば、今後は捕球役へのサポート体制などを見直す考えなのだろうか。 課題が発覚しただけでなく、恐れていた事態も起きた。前半4分には快速ウイングの福岡堅樹がふくらはぎを痛めて退場。続く後半7分には「フィジカルモンスター」ことナンバーエイトのアマナキ・レレイ・マフィが肩を抑えて交代した。ここにきて、柱を抜かれた状態で大舞台へ挑む可能性が浮上してしまった。 ジョセフは、大会登録メンバーのうちの多くに複数ポジションのカバーを求めている。そのためレギュラーが怪我をしても、残ったメンバーが穴を埋めそう。マフィの位置なら途中出場した徳永祥尭や現在治療中の姫野和樹ら、福岡の場所ならこの日投入されたアタアタ・モエアキオラやレメキ ロマノ ラヴァをカバーする。それは本番に突入する前の現在でも、同じ考えが採用されるだろう。