鴻海、日産取得への関心は保留-ホンダとの統合交渉が続く限り
(ブルームバーグ): 台湾の鴻海精密工業は経営不振に陥っている日産自動車について、同社がホンダとの統合交渉に入っている限り、現状では株式取得に向けた関心を保留する意向であることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者らによると、鴻海は最近、パリに幹部を派遣して日産の大株主で同社の今後の方向性を決める権限を持つ仏ルノーと面談した後、日産へのアプローチをいったん止めることを決めた。ただ、完全に計画を諦めたわけではなく、ホンダと日産の間の交渉が妥結に向けて進展するか見極める考えという。
スマートフォンの受託生産で急成長し、電気自動車(EV)製造参入も進めている鴻海は会社全体を取得することを目的として日産側にアプローチしていた。そうした中でホンダと日産が経営統合を含めて様々な選択肢を検討していることが18日に判明した。
日産とホンダの交渉は鴻海のアプローチを受けて加速した形だ。日産が鴻海と本格的な交渉を行ったのかや、既に鴻海の提案を拒否したかなどについては明らかになっていない。ただ、日産とホンダの協力関係を踏まえれば、鴻海が買収を強行しようとしてもホンダに打ち勝って日産を射止める公算は小さい。
鴻海の広報担当者はコメントの要請に応じなかった。ルノーの広報担当者はコメントを控えた。
日経新聞は18日、ホンダと日産の交渉が加速した背景には鴻海が日産への関心を示したことで、日産が買収の標的になることへの恐れがあったなどと報じていた。
低迷を続けていた日産株は一連の報道を受けて大幅に上昇。今週に入ってからの上昇率は25%を超えている。年初来では約2割の下落となっている。
--取材協力:鈴木克依.
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