“幸せは、分かち合うもの” シンプルで豊かな北欧の人生哲学に迫るドキュメンタリー 映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』
第96回アカデミー賞国際長編映画賞ノルウェー代表に選ばれたドキュメンタリー映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』。この度、本作の日本版予告映像が公開された。 本作では、息を呑むような美しい大自然に囲まれたノルウェー西部の山岳地帯「オルデダーレン」の渓谷に暮らす老夫婦に、その娘でありドキュメンタリー作家のマルグレート・オリンが1年をかけて密着。大地に根を下ろし、シンプルで豊かに生きる両親の姿から、娘は人生の意味や生と死について学んでいく。 プロジェクトに共感し、製作総指揮を担当したのは『PERFECT DAYS』のヒットも記憶に新しい巨匠ヴィム・ヴェンダースと、イングマール・ベルイマン監督のミューズとしても知られるノルウェーを代表する大女優リヴ・ウルマン。 この度公開された予告映像では、娘であるオリン監督からの問いかけに対し、いつも「散歩に行こう」と答える父ヨルゲンに誘われ、カメラはどこまでも広がる凍った湖、草の生い茂る岩の道、美しく澄んだ川、緑がまぶしい草原、幻想的なオーロラ、様々な野生動物たちなど、四季ごとに全く異なる表情を見せるオルデダーレンの様子が映し出される。彼はひとりで、時には妻マグンヒルドと手を取り、肩を寄せ合いながらこの自然の一部となりながら歩んできた。「自然を見渡しながらゆっくり歩く。感じるはずだ、自分たちの存在がいかに小さいかを」という彼の言葉からは、その人生をかけて厳しさも持つこの大自然と向き合い続けてきたことの重みをが感じられる。 自身が育った故郷についての映画を作りたいと考えていた監督は、壮大なオルデダーレンの大自然を捉える撮影のために9人ものカメラマンを起用し「この雄大で力強い自然の中で、小さな人として父を見られるように」という狙いでドローンも駆使。「この映画の制作を考えた際に、自然の恵みは既にそこにあると思っていました。だから映像を作るのではなく、映像を集めるつもりでしたし、それは自然の音の面にもいえることです」と、音への強いこだわりも明かす。そのうえで「父の世代は、どうしたら人が自然を大切にできるのか深く理解できている最後の世代なのでしょうか。私たち人類が生き残るためには、地球の歌(=Song of Earth)に耳を傾けなければなりません。この映画はあなたを野外へといざないます。エコロジーという言葉は、“家”を意味する“オイコス”に由来します。そう、自然は私たちの家なのです」と、作品に通底するテーマについてコメントを寄せている。 映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』は、2024年9月20日(金)より全国公開。
otocoto編集部
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