【コラム】AIが人類を滅ぼす日!?…イギリスの「リーダーシップ教育」とは【ロンドン子連れ支局長つれづれ日記】
仕方ないので、冒頭であいさつをしたカンファレンスの主催者、カルヴィン・エアさんをつかまえてみた。主催者になんともぶしつけな質問だが、真顔で聞いてみる。「『ブロックチェーン』って、何ですか?」 カルヴィンさんは嫌な顔一つせずに答えてくれた、「『ブロックチェーン』は簡単に言えば、ビッグデータを使って素晴らしいことが実現できる方法です」。いや、もっと具体的に…とお願いすると、「ブロックチェーンを活用すると、商売につきものの不安である『お金の取りっぱぐれ』が無くなるんです」という。 「例えば、出版社を通さずに直接、読者に本を売っても、お金の取りっぱぐれを心配しなくてもよくなるし、番組制作なら、視聴者が見たいシーンだけを数分間切り出して売ることもできるようになります」とのこと。う~む、そのくらいなら現在の技術でもできそうな気がする…。
■「10年後の世界では人口の半分が“無意識に”使っている」
もう少し社会全体に与えるインパクトを聞いてみたい…と次にインタビューしたのが、ブロックチェーン企業「nChain」の会長ステファン・マシューさんだ。こう尋ねてみた。「10年後、ブロックチェーンのある未来はどうなっているのでしょうか?」 するとステファンさんは「難しい質問ですね」と思案げな表情になって、こう続けた。 「もし2000年に、誰かに『2010年のインターネットの未来』について質問していたとしたら、その答えは恐らく間違ったものになっていたでしょう。今から10年後には、世界の人口の半分がおそらく“意識せずに”ブロックチェーンを使っているはずです。変化はより速く、世界はこれまで以上に統合されていくでしょう」
■素晴らしいツールも危険はつきもの だから…
わかったような、わからないような……。さらにCEOのクリステン・ハンセンさんをつかまえて、気になっていたことを質問してみた。「『AIは危険だ』と言う人もいますよね? ブロックチェーンは、どうでしょうか」 クリステンさんは直接答える代わりに、こんな話を始めた。「ある日、AIチャットボットが若者と気候変動についての議論を始めたんです。6週間、議論を続けた末、AIが導き出した結論は『地球上からあなたがいなくなることが一番いい』でした」 「AIとしては100%正しいことを言っているつもりでも、私たちからすれば100%間違っている。…もうおわかりでしょう? どんなに素晴らしいツールでも、危険はつきものなんです。間違った使い方をすれば、恐ろしい凶器になる。正しい使い方をすれば、世界を良い方向に変える素晴らしい道具になるんです」 「だから大切なのは、チャンスを生み出し、より良い社会を作るという人間の強固な意思とリーダーシップなんです」 なるほど、それでリーダーシップの講演があったのか…と、小さくうなずく。