初のセリフは「ホギャー」…菜々緒が語る″女優の原点″「コメディを演じると初心に帰ることができる」
「私の原点はコメディにあり」
「女優として最初に発したセリフは、子泣きじじいの姿で『ホギャー』だったんですよ(笑)。私の原点は″コメディにあり″といま改めて感じています」 【本誌未掲載カット】抜群のスタイルに美貌…! 菜々緒 インタビューでみせた「素顔写真」 渋谷でスカウトされて’09年に芸能活動を始めた菜々緒(35)の女優デビュー作となったのは、東村アキコの人気漫画が原作となる’12年の連ドラ『主(おも)に泣いてます』(フジテレビ系)。美人過ぎるために幸せが逃げていくモデルの非モテ人生を描いたラブコメディだった。 あれから12年の月日が経ち、すっかり人気女優となった彼女が10月クールのドラマ『無能の鷹』(テレビ朝日系)で原点回帰する。はんざき朝未の同名漫画が原作の超脱力系お仕事コメディで、見た目は有能そうだが、実はコピーもできない、資料のホチキス止めもできない、パソコンの起動もできない――という超無能な主公・鷹野ツメ子を演じる。 「私自身も『完璧に見える』と言っていただくことがあるのですが、そんなことないんです。心臓の音がピンマイクに拾われちゃうくらい緊張しいです(笑)。『運動神経が良さそう』ともよく言われるのですが、これもまったくで……。母親から『よくアクションシーンができるね』と驚かれるほど、運動神経には自信がありません……」 スマートな外見や自信に満ち溢(あふ)れた姿からは想像できないが、今回の役柄にもそのギャップを見事に活(い)かしている。 菜々緒は撮影の合間、デビュー作を思い出す瞬間があったと振り返る。 「『主に泣いてます』をいま見返すと、この時のお芝居は恥ずかしいです(笑)。でも、あの時に現場の楽しさを知ることができ、本格的に俳優業に進もうと決断できました。今回、久々にコメディに挑戦して、初心に帰ることができたんです」 記憶に色濃く刻まれている鮮烈デビュー作。そこに至るまでには、意外な出来事もあったという。 「『ウチくる!?』(フジテレビ系)というバラエティ番組で、母の手料理がサプライズで出てきたんです。それを食べながら号泣している私を見てドラマのプロデューサーが、『この子をキャスティングしよう』と決めたらしいんです。母の手料理がなかったら、女優の私はいなかったかもしれないですね(笑)」 ◆悪女から世界へ 菜々緒は、’14年の『ファースト・クラス』(フジテレビ系)や’15年の『サイレーン』(同系)で、主人公を貶(おとし)める悪女やシリアルキラーなど強烈キャラクターを好演。以降、悪女がハマり役となり、人気女優へと成長したのは周知の通り。 「悪女を演じる際、私はそのキャラクターに興味を持つことを心掛けています。自分の中にあるものを引き出しながら、黒い部分も白い部分も含めて、全部を役に落とし込んでやるのが演技の醍醐味だと思っています」 深い愛着を持ち、役柄に没入することでリアルな演技が生まれる。その一方で、役に入り込んでしまうがゆえに撮影が終わった後も役を引きずってしまうことがあった。 「『役が抜けていない』と周りから言われたことがありました。自分では気づかないんですけど、撮影が終わっていても話し方とか服装とかメイクとか、素の私が無意識に影響を受けていたみたいで。最近は、役をどうやって落とすかを考えるようになりましたね。リフレッシュしたり、一人の時間を大切にして、少しずつ本来の自分に戻れるようにしています」 30代に突入し、多忙がゆえに体調管理の大事さを意識するようになった。心身の健康と向き合うようになり、効果的だと感じたのはデジタルデトックスだったという。 「最近は、情報量の多さや更新スピードに圧倒されることが多いです。情報に溢れたデジタル社会だからこそ、意識的に距離を置く時間が必要だと感じました。心をリセットするためにもバランスを保つよう心掛けていますね」 今年で芸能活動15周年を迎える菜々緒は、8月にファンクラブを開設した。彼女が今後目指す場所はどこなのか。 「役者という仕事は、たくさんの人々にメッセージを届けられるやりがいのある職業だと思っています。無能な鷹野ツメ子が清々(すがすが)しく生きている姿を見て、『こんな自分でもいいんだ』と視聴者の方々が自分を認めてあげられるきっかけになればいいな。最近では、真田広之さん(63)がエミー賞を受賞されたり、大谷翔平選手(30)が世界で活躍している姿を見て刺激を感じることが多いので、私もまだまだ上を目指していきたいです!」 着実にキャリアを積み重ねる菜々緒の瞳には、世界が映っていた。 『FRIDAY』2024年10月18・25日合併号より
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