公取委が立ち入り検査のアマゾンジャパン、要求拒否の出品者は「お薦め商品」から除外か
インターネット通販大手「アマゾンジャパン」(東京都目黒区)が運営する通販サイトで、出品者に販売価格の引き下げなどを強要した疑いがあるとして、公正取引委員会は26日午前、独占禁止法違反(不公正な取引方法)容疑で同社を立ち入り検査した。同社への立ち入りは、2016年以降で3回目。親会社の「アマゾン・ドット・コム」(米国)も報告命令などを通じて調査する。
公取委は近年、「GAFA」と称される巨大IT企業への規制を強化している。アマゾンジャパンのほか、米アップル、米グーグルを次々と調査。今年4月には米グーグルに対し、初の行政処分を出した。
関係者によると、アマゾン側は出品者に対し、自社の通販サイト「マーケットプレイス」で商品を販売する際にライバル会社のサイトよりも低価格に設定するよう求めたという。さらに、商品の包装や購入者への発送、代金の回収などもアマゾン側が運営する有料の物流サービスを利用するよう圧力をかけた疑いもある。
出品者は全国の企業や個人事業主。アマゾン側はIT大手や家電量販店などの通販サイトを巡回して値段をチェックしているとみられ、要求を拒否すると、アマゾン側が定める「お薦め商品」から除外したという。お薦めから外れると、閲覧の機会が減って販売量が激減するため、出品者は従わざるを得なかったとみられる。こうした行為は遅くとも数年前から行われていた可能性がある。
アマゾン側が取引上の圧倒的な立場を利用し、出品者の事業活動を不当に制限している恐れが高いとみて、公取委は独禁法で禁じる「優越的地位の乱用」や「拘束条件付き取引」などに当たると判断した模様だ。
アマゾンジャパンを巡っては、これまでも複数回、通販サイトへの出品者や直販商品の納入業者に不当な圧力をかけた疑いで公取委から調査を受け、その度に取引条件が改善されてきた。
16年には自社サイトへの出品者に対し、ライバル会社の通販サイトと比べ、価格や品ぞろえを同等か有利にするよう強要したとして立ち入り検査を受けた。アマゾンジャパンは優遇を求めた契約条項を撤廃したため、公取委は17年に「自発的な措置で不当行為を解消した」として調査を終えた。