「100万円振り込めば身の潔白を証明できます」…64歳男性が騙されかけた「警察官なりすまし」その巧妙すぎる手口
「被害者」と言われたことで信じてしまった
「警察官を名乗っていたことや警察手帳を見せられたことで、すっかり信じていました。それに、自分が事件の容疑者にされたことでドキッとして正気ではいられませんでした。 いくら身の潔白を訴えても聞き入れてくれないし、専門用語や『証拠がある』と言われてしまえば、私の知らぬところで誰かが私の名前を利用している、その潔白を証明するためにはどうしたらいいのかわからなくて…。自分はやってはいないが、このままでは逮捕されてしまうんじゃないか、という恐怖があった」(小林さん) 巧妙だったのは、「被害者」と言われたことだという。 「もしかしたら『私が無実であることが証明されるんじゃないか』と思って、潔白を証明したい一心でした。逆に『被害者』と言われたことで、支払わなきゃ、と思ってしまったんです」(小林さん) そう話す小林さんは「オレオレ詐欺」や「特殊詐欺」について、具体的な詐欺の手口や被害に関する知識はあったという。だが、そんな自分がすっかり騙されてしまったことに、驚きを隠せない様子だった。 「刑事事件や警察の捜査について普通の人は知識がありません。警察を騙られてしまい、加害者だと詰められれば、頭が真っ白になってしまうでしょう」(小林さん) おまけに、最初にかけてきた警視庁を名乗る番号の下四桁は0110。110番を模していたのだ。 こうした警察を騙る詐欺事件は実際にあるのだろうか。もしくは本当に極秘捜査の可能性は――。捜査員とされる女性が電話をしてきた鹿児島県警に問い合わせると、次のような回答が得られた。
鹿児島県警からのアドバイス
「警察がお金を要求することは絶対にありません」 鹿児島県警組織犯罪対策課の担当者はそう言い切ったうえで、こう続ける。 「鹿児島県内だけでなく、全国から警察官を名乗る不審な電話に関する相談があります。鹿児島県警だけではなく、警察官を騙る詐欺は流行っています。SNSや電話でお金を要求されるようなことがあれば、詐欺を疑ってください」(以下「」も) では、実際に警察から捜査協力を求める電話がかかってくることはあるのだろうか。 「なんらかの特殊詐欺事件を認知した場合、被害者など関係者に対して事実確認や操作協力のために、本人に電話をすることはあります。ただし、その際は所属、係名、氏名などを明確にし、正確にお伝えいたします。顔が見えないため、電話では簡単な確認にとどめ、詳細な聴取が必要な場合や大切なところは、警察署の中など対面で対応いたします」 警察官がLINEなどSNSを使って事件の聴取を行うことも、あり得ないという。 「なんらかの事情により、アカウントを知り得たとしてもLINEなどの通信手段により、警察手帳や逮捕状の画像を見せることはあり得ません。またLINEなどSNS上での聞き込みや事情聴取をすることもありえません」