企業の7割で「原材料価格」、「人件費」などコスト上昇 人件費増加分は「転嫁できていない」がほぼ半数
「価格転嫁に関するアンケート」調査
物価高や円安、エネルギー価格の高止まりなど、アフターコロナ局面でも厳しい経営環境が続いている。今年1月の本業に係るコストが前年1月より「増加した」と回答した企業は、73.6%と7割を超えた。 一方、コスト上昇分を「価格転嫁できていない」は、「原材料や燃料費、電気代の高騰」を挙げた企業の37.9%を占めた。前回調査(2023年4月)の42.2%からは4.3ポイント改善したが、依然として約4割は原材料費分すら転嫁できていないことがわかった。また、「労務費(人件費)の増加」分を価格転嫁できていない企業は48.5%と、半数に迫る水準だった。 価格転嫁できていない理由では、「受注減など取引への影響が懸念されるため」が「原材料等の高騰」で60.0%、「人件費の増加」で49.7%を占め、それぞれ最多だった。ただ、「コスト上昇は自社の努力で対応すべきと考えるため」は「原材料等の高騰」で14.5%に対し、「人件費の増加」では21.4%と2割を超えた。また、「人件費の増加」でコストが上昇している企業のうち、半数近くの46.5%が「主要取引先からの理解が得られないため」と回答した。 賃上げ原資の捻出に価格転嫁が不可欠だが、人件費上昇分の価格転嫁は浸透しておらず、下請業者に対する親事業者の意識も問われている。 ※本調査は、2024年2月1日~8日にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答2,857社を集計・分析した。 ※資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
Q1.貴社の今年1月の本業に係るコスト(原材料、燃料費、電気代、労務費など)は前年1月と比較して何%上昇していますか?
◇「コスト増加」の企業は73.6% 本業に係るコストが前年より上昇した企業は73.6%(2,857社中、2,105社)だった。 レンジ別では、「10%以上20%未満」が32.9%(940社)で最多。次いで、「10%未満」の20.5%(587社)、「20%以上30%未満」の14.6%(419社)の順。 前年より1割以上の増加となった企業は53.1%(1,518社)と半数を超えた。 規模別では、大企業の68.6%(217社中、149社)に対し、中小企業は74.0%(2,640社中、1,956社)がコスト上昇に言及した。 中央値はすべての規模で10%だった。 産業別では、コスト上昇企業の割合が最も高いのが農・林・漁・鉱業の80.9%(21社中、17社)、最も低いのが金融・保険業の50.0%(18社中、9社)だった。