企業の7割で「原材料価格」、「人件費」などコスト上昇 人件費増加分は「転嫁できていない」がほぼ半数
Q4.Q3で「転嫁できていない」と回答された方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)
◇「取引への影響懸念」が6割 「原材料や燃料費、電気代の高騰」分を転嫁できていない563社から回答を得た。 最多は「受注減など取引への影響が懸念されるため」の60.0%(338社)だった。以下、「主要取引先からの理解が得られないため」の46.7%(263社)、「同業他社が転嫁していないため」の41.5%(234社)と続く。 規模別では、「同業他社が転嫁していないため」が大企業の30.2%(43社中、13社)に対し、中小企業は42.5%(520社中、221社)で、中小企業が12.3ポイント上回った。中小企業においては、価格が競争力に直結するケースも少なくなく、同業他社が価格転嫁しないなかでの値上げをためらう企業が多くなっている可能性がある。
Q5.Q2で「労務費(人件費)の増加」と回答された方に伺います。労務費(人件費)の増加に伴うコスト上昇のうち、何%を価格転嫁できていますか?
◇約5割が「転嫁できていない」 人件費を「転嫁できていない」は48.5%(1,282社中、623社)と半数近くを占め、原材料や燃料費、電気代の高騰分を「転嫁できていない」の37.9%を10.6ポイント上回った。 「全額転嫁」は3.4%(44社)にとどまった。 規模別では、「転嫁できていない」は大企業で59.5%(84社中、50社)、中小企業で47.8%(1,198社中、573社)。 中央値は全企業と中小企業が20%、大企業は10%だった。 賃上げ原資捻出のためには価格転嫁が不可欠だが、人件費の転嫁は原材料などの価格転嫁以上に、企業にとって高いハードルとなっている。
Q6.Q5で「転嫁できていない」と回答された方に伺います。理由は何ですか?(複数回答)
◇「自社で努力すべき」が2割 615社から回答を得た。 最多は「受注減など取引への影響が懸念されるため」の49.7%(306社)だった。 「コスト上昇は自社の努力で対応すべきと考えるため」が21.4%(132社)で2割を超え、原材料費などを転嫁できない理由(Q4)の同一選択肢(14.5%)との比較で、唯一割合が上回った。 また、「主要取引先からの理解が得られないため」も46.5%(286社)を占め、Q4の同一選択肢(46.7%)とほぼ同じ水準だった。 人件費は、原材料費などと比較しても自社努力での吸収が重視される傾向にあり、転嫁の難しさが賃上げの妨げになっていることも懸念される。