焦点:米上院、政権交代を前に始動 新たな政府支出など承認に向け
David Morgan Bo Erickson [ワシントン 2日 ロイター] - 来年1月にトランプ米次期大統領(共和党)が就任し、議会の上院、下院ともに共和党が多数派を握る政権交代を前に、現在は民主党が多数派となっている上院が1日、新たな政府支出と災害支援措置、国防政策の承認を目指して動き出した。 予算切れによる政府機関の一部閉鎖を回避するための現行のつなぎ予算の期限が今年12月20日に切れるのを控え、クリスマス前に政府機関の部分閉鎖を回避するために新たな予算措置の超党派での承認が得られるかどうかが大きな課題だ。 予算を巡る議論の対象にはバイデン大統領の総額1000億ドル近い緊急災害支援要請も含まれ、これは今年襲った大型ハリケーン「ヘリーン」と「ミルトン」に見舞われた米国南東部地域や、自然災害に見舞われた地域に対する支援となる。 連邦政府の債務上限も来年元日までに手を打つことが迫られているが、議員らよると財務省の特別措置によって政府資金が実際に枯渇する「Xデー」は2025年中に先送りされる公算が大きい。 上院民主党トップのシューマー院内総務は1日、来年9月末までの2025会計年度までの政府資金を賄う年次歳出予算案ではなく、「予算継続決議(CR)」と呼ばれるつなぎ措置を採る方向で交渉していることを示唆した。 シューマー氏は議場で「超党派の支持を得て上下両院を通過できる予算を巡って双方は交渉を進めている」と説明。その上で「政府予算の延長から、分裂を招く不必要な条項を除外する必要がある」と訴えた。 シューマー氏は、ジョンソン下院議長が来年早期を期限にすると発言しているCR案の詳細については明らかにしなかった。 トランプ氏の支持者らは、次期政権の発足後早々に民主党の歳出構想や政策優先事項をつぶすために3カ月間にとどめたCRを要求している。 <100日計画> 共和党は25年度予算案を決めるキャスティングボートを完全に掌握するのに先立ち、議会においてより大きな結束を示すことを狙っている。 しかし、その場しのぎのアプローチは減税やエネルギー規制緩和、国境警備といったトランプ氏が掲げる就任直後の100日間の行動計画から時間とエネルギーを奪うことにもなる。 下院共和党はトランプ氏に司法長官に指名された後に議員を辞職し、未成年女性の買春疑惑を受けて指名を辞退したマット・ゲーツ氏のほか、トランプ政権入りが決まった2人の議員も辞めれば民主党との議席数が僅差に縮まる可能性がある。 トランプ氏と緊密に連絡を取り合っているジョンソン氏は「次期政権の行動計画と、私たちが下院で思い描いている行動計画には隔たりがない」と語った。 トランプ氏の政権移行チームはコメントの要請に応じなかった。 中小企業局(SBA)のトップは最近の議会証言で、住宅の所有者や賃借主、企業向けの災害融資プログラムが今年10月に資金不足に陥り、6万人以上の融資希望者が支援を待っていると明らかにした。 議会関係者によると、災害救済措置はCRに盛り込まれる可能性が高い。 しかし、上院で最初に可決するのは25年会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法(NDAA)案になる可能性が高いという。議会関係者は早ければ来週にも採決される可能性があると説明した。