瀬戸内で初のサシバ観察会 来年のサミットへ機運醸成 奄美大島
秋の訪れを告げる渡り鳥「サシバ」の観察会が14日、鹿児島県奄美大島の油井岳展望台(瀬戸内町)であった。サシバ愛護会関西~奄美ネットワーク(桂良太郎代表)の主催。町内の子どもや保護者らが参加し、サシバを通して奄美の豊かな自然、環境保護の大切さなどを学んだ。同町での開催は初。 観察会は、来年10月25、26の両日に宇検村で開かれる「国際サシバサミット」に向け、サシバへの関心を促進し、島内の機運醸成を目的に企画。講師は、同会会員で野鳥写真家の与名正三さん(72)が務めた。
サシバは、東北地方以南に夏鳥として渡来する絶滅危惧Ⅱ類の猛禽(もうきん)類で、南西諸島から東南アジアにかけての地域で越冬する。奄美大島は約2千羽が飛来する国内最大規模の越冬地であり、東南アジア地域へ渡るための重要な中継地。 同島では今年、島内で越冬する個体が9月下旬から、フィリピンなどで越冬する個体は先週半ばからそれぞれ見られており、観察会ではサシバの特徴や習性をはじめ、島にとどまる個体と渡る個体の見分け方の解説などもあった。 参加者は「ピックイー」と甲高い鳴き声を響かせ、空高く旋回するサシバを双眼鏡で観察。熱心に観察していた児童は「昆虫が好きで鳥にあまり興味はなかったが、(与名さんの)話を聞いて、サシバは遠くから飛んできて頑張り屋さんだと知った」と笑顔。 与名さんは「渡り、越冬の2種が観察できるのは奄美大島だけで、島は本当に恵まれた環境。観察会では群れの渡りを見ることが出来なかったが、今月17日ごろまではチャンスがあるので、ぜひ空を見上げて」と話した。