神戸J1連覇の立役者だ!武藤嘉紀「すべてをサッカーに捧げた結果」
明治安田J1最終節(8日、神戸3-0湘南、ノエスタ)「明治安田J1リーグ」で神戸が2連覇を達成。MF武藤嘉紀(32)が2得点に絡む活躍で、最終節まで3チームに優勝の可能性があった混戦を制した。広島はG大阪に1―3で敗れ2位。J1初参戦の町田は鹿島に1―3で敗れ3位だった。磐田は18位で1シーズンでのJ2降格。柏、新潟は残留が決まった。横浜MのFWアンデルソンロペス(31)が24ゴールで2年連続の得点王に輝いた。 こみ上げる感情を抑え切れず、神戸のMF武藤は右手で目頭を押さえた。優勝が懸かった大一番で2得点に絡み、リーグ連覇に貢献した。 「この1週間は人生で一番長く感じた。優勝を逃す悪夢を見て、ハッとして起きるというのが2、3回続いた。本当にすべてが報われた」 前半26分、右サイドからのクロスに頭で合わせた。GKが弾いたこぼれ球を押し込んだFW宮代が先制点。同43分にはゴール前でのFW佐々木のラストパスを冷静に左足で流し込み、2戦連続のゴールを奪った。 今季の原動力は危機感だった。開幕前にはFW大迫が2026年まで契約を延長。21年夏に加入し、契約最終年の武藤は「来年がどうなるか分からない。チームにとって必要だということを再度、アピールしないといけない」と奮い立った。 「FWで勝負したい」という思いを封印し「サイドハーフとして攻守にチームの助けになるプレー」に徹した。献身的な働きが、今季チーム最多で14年のFC東京時代の自己最多に並ぶ13得点と7アシストに直結した。 日常のケアにも時間を割いた。飲酒は控え、東京に住む妻と2女1男の家族との時間さえ、移動にかかる体の負担を考慮し「会わないという選択を取った」と徹底した。子供たちから「パパ、東京のチームに来られないの?」と言葉をかけられることもあったという。「さみしい思いをさせていると感じた。だからこそ、この結果を届けたかった。何一つ妥協することなく、すべてをサッカーに捧げた結果」。最後に苦労が報われた。 クラブ側はすでに契約延長をオファー。永井スポーツダイレクターは「絶対的に必要な選手」と話す。武藤は「自分の力を必要としてくれているか。それに尽きる。一回落ち着いて、ゆっくり考えていきたい」。32歳で進化を遂げたストライカーは後悔のない選択をしていく。(西垣戸理大)