あなたが住む地域の男女格差 簡単に、しかも詳細に分かります 今年も公開「都道府県版ジェンダー・ギャップ指数」
1位は広島。校長の女性比率が小学校で2位、中学校で4位。大学進学率の男女平等度は6位だった。広島県教育委員会は、育児や介護を経験した管理職が研修で体験を話すなどロールモデルを知る機会をつくり、管理職の女性割合を増やそうと試みてきた。担当者は「現場で地道に取り組んだ成果が出ている」と話す。 岩手、富山、長野、島根、山口が前年から10ランク以上アップしたが、三重、和歌山、鳥取は10ランク以上順位を下げた。順位に影響する比重が大きい「大学進学率」が要因で、男女格差の縮小、拡大が結果に反映されたとみられる。 順位が上昇した長野では、県教委が夜間の校内巡回を外部委託するなど長時間労働の是正を進めている。県教委は「働きやすい環境が結果的に女性の活躍にもつながる」と説明する。 大学進学率は、男性で40%を下回る都道府県はなかったが、女性では8県が30%台。女性が男性を上回ったのは前年から2県減って徳島のみとなった。男女ともに進学率が低い県もあり、平均所得や地域の大学整備など地域間格差に注目した教育施策が求められる。
このほか小学校から中学校、高校へと段階が上がるにつれ、校長の女性比率が下がる傾向が全国的にみられた。また全都道府県の教育委員会に女性委員が在籍していた。44都道府県に複数の女性委員がおり、12都県では男性委員数を上回った。 ▽経済格差の解消には職場だけでなく家庭でも 「経済」分野では、男女の就業率に注目したい。就業率の男女差が最小なのは沖縄。沖縄は、フルタイムの仕事に従事する男女の賃金格差も小さかった。一方で、共働き家庭の家事・育児などに使用する時間の男女差は大きく開いた。経済格差が少なくても、家庭での役割が固定され女性に負担がのしかかる現状が示されている。 福井と石川では、女性の就業率やフルタイム率は高かったが、フルタイムの賃金格差に開きがあった。福井県立大の塚本利幸教授(社会学)は「中小製造業が多く、3世代近居が主で子育てサポートを受けやすい北陸では、共働き率が高い」と解説。賃金格差の背景には、給与が高い管理職が男性に偏り「女性は仕事と家事育児の多重負担で、キャリアアップにまで力を注げない」との事情があるとした。
漁協役員は、全国で女性が0・5%と少なさが際立つ。水産庁の担当者は「漁業は長期操業や力仕事が多く過酷で、女性がそもそも少ない」と指摘。女性役員が増えれば「新しい視点が出てくるのでは」と話す。 社長の男女比は、全国でほとんど0・1台に。0・2台は茨城、沖縄、東京の3都県のみだった。女性がトップに就任したり、起業したりしやすい土壌づくりが必要だ。 (取材・執筆は田川瑶子、竹生瞳、川南有希、中村岳史、兼次亜衣子が担当しました)