ドローンショーで“地方発・世界と戦えるスタートアップ”に 未来のエンタメを模索する中で感じた「地方都市」の可能性【DIG Business】
山本代表 「イベントで人を集めようとしている会社なのに、コロナ禍が直撃して。すぐに資金難に陥ったんです。いろんな方に出資をお願いして何とか繋いでいたんですけど、資金を集める中である日、投資家の方に言っちゃったんですよね。“自社機体を開発します!”って」 創業当初は、中国製のドローンを借りてショーを行っていたが、機体の大きさなどがハードルとなり、なかなか自分たちの思うようなショーができなかった。そういった思いもあり、いつかは自社機体を…と考えてはいたが、投資家に言い切った手前、いよいよやるしかない状況になった。 2年に及ぶ試行錯誤の結果、誕生したのが同社独自のドローン「unika(ユニカ)」だ。 機体を軽量化し従来の半分に、サイズも小さくすることで、ショーにおけるドローン間の距離が縮まり、より解像度の高いショーが可能になった。 ■北陸の「待ちに待った日」を彩る その後も、着実にショーの実績を積みつつ、ハードとソフトの両面をアップデートし続ける日々。 そんな中、同社にビッグイベントの話が舞い込んだ。 山本代表 「福井新聞から、“新幹線開業の日にショーをやりましょう”とお声がけがあって」 2024年3月16日「北陸新幹線 金沢―敦賀間開業」。 震災からの復旧・復興へと歩みを進める北陸の人たちにとって待ちに待った日。 この記念すべき1日に、ショーを開催することになった。地域貢献への想いが強い山本さんにとっても、イベントにかける思いはひとしおだ。 山本代表 「僕たちにできることはエンターテインメントしかないので、ショーを成功させて、北陸を少しでも明るく照らしたい」 開業当日。 本番7時間前から何度もテスト行い、ドローン1機1機が正常に作動しているか、プログラミングの指示が届くかなど細かくチェックしていく。 午後7時半。ついに迎えたショー本番。 500機のドローンが一斉に夜空へと飛び立ち、様々に色を変えながら、新幹線や恐竜など、北陸ならではのイルミネーションを描いていく。