深化を続ける「ヒロココシノ」 「クチュールの精神を基軸に据える」初コレクション
深化を続けるクリエイション
オートクチュールの精神は、細部に盛り込んだ。パンツの裾のスリットやドレスの胸元に刺しゅうでファスナーを描き、ラップスカートはカッティングでアシンメトリーに、Iラインが特徴のドレスには、メッシュの切り替えを細かく施した。ティアード部分がバルーン状のドレスや、ベル状のひだが印象的なスカートなども登場させた。
スタイリングは、カジュアルとフォーマルや、マニッシュとレディーライクを両立し、「ヒロココシノ」流の遊び心を効かせて、「一人のデザイナーが生み出したものが、あらゆる場面でも適用できることを見せたかった」。シンプルなジャケットにはスキニーなリブパンツを合わせてカジュアルさをプラスし、モノトーンのバトラー風スタイルにはヒールで華奢な印象を添えた。大きくスリットを入れて脚を露出させるブラックドレスにはプルオーバーを肩掛けし、オケージョンのムードを引き算した。
ラスト2ルックを飾ったのは、着物風のジャカード生地で仕立てたジャケット。アート分野での活躍を見せるコシノ=デザイナーが、実際に描いた作品を用いたといい、「ファインアートとテキスタイルの一体化を意図した」とコメント。デザイナー歴約70年を迎えた今もなお、クリエイションはさらに深化している。