矢口真里 モー娘。メンバーで歌唱力に衝撃を受けたのは… 「ハモリを任されてばかりで正直悔しかった」
――モー娘。に2期生のメンバーで加入すると国民的人気アイドルに上り詰め、音楽番組やバラエティー番組に引っ張りだこになりました。 もがいていましたね。15歳でモーニング娘。に入りましたが、数年間は自分のキャラクターが分からず、どう出していいかも分からない。自分のキャラが弱すぎてメチャメチャ苦しかった。メンバーの個性がすごいんですよ。なっち(安倍なつみ)が絶対的センター、ギャルで独特のオーラがあるゴマキ(後藤真希)、厳しそうなキャラの裕ちゃん、ヤンキーっぽい(石黒)彩ちゃん、かおりん(飯田圭織)や(保田)圭ちゃんも(TBS系の音楽バラエティー番組)「うたばん」で(とんねるずの)石橋貴明さんにいじってもらって注目されるようになって。私は3列目に座って何もできないのが悔しかったですし、焦りがありました。 ■それがウケて(笑) ――どのようにして活路を見いだしたのでしょうか。 18歳のときに(ニッポン放送の)オールナイトニッポンでパーソナリティーに起用していただいたことが転機になりました。最初はテンパって早口になりすぎて何を話しているか分からない放送になってしまったんですけど、話す内容を家で練習して番組を重ねることで少しずつ余裕が出るようになりました。放送中に我慢できずトイレに行ってしまったんですけど、それがウケて(笑)。そんなことがあって、具合が悪いときは放送中に正直に言えましたし、精神的に楽になりました。その後にバラエティー番組に出たときに、他の出演者の方たちとの会話を楽しんだりできるようになって。背伸びせず、肩肘の力を抜いたことで自分の立ち位置を見つけられるようになりました。
――モー娘。時代は歌でどのような部分にこだわっていましたか。 当時は主メロを歌いたかったのですが、(プロデューサーの)つんく♂さんからハモリを任されることが多くて。正直悔しかったんですけど、大人になって楽曲を聴いてくれるファンの方たちに「やぐっちゃんのハモリってすごくきれいだよね」って褒めてもらえる機会が増えたんです。つんく♂さんはその部分を見てくれているのかなと今は感謝の気持ちが大きいです。 ――歌唱力で印象的だったメンバーはいらっしゃいますか。 保田圭ちゃんですね。ただうまいだけでなくて、歌にのせる抑揚のつけ方、感情表現が本当に上手なんです。オーディションの初日に一緒のグループになって安室奈美恵さんの曲を歌っているのを聴いて、「すごい」って衝撃を受けて。メンバーになって一緒に活動してもその思いは変わらなかったです。当時の圭ちゃんは髪にメッシュを入れてギャルっぽくて話しかけづらいなと思ったけど(笑)、話したらすごく優しくてすぐに仲良くなりました。 ■私だけピンピンしている ――ライブではパワフルな動きが矢口さんの代名詞でした。 当時はなっち、ゴマキと、センターとして認めざるを得ないぐらい輝いているメンバーがいたので、そのセンターとトライアングルになる1人になろうと。つんく♂さんからも「矢口は体が小さいから飯田の倍は動かないとダメだよ」とアドバイスをもらっていたので、他のメンバーの2倍は動いていました。全身を使って踊る楽曲が多かったので、1回のライブで体重が2キロ減っていましたね。夏場の屋外は水分を取るけど、脱水症状、熱中症、過呼吸でメンバーが倒れていました。私も2度倒れましたが、休むという概念がない時代だったので(笑)、病気のときは解熱剤をどこで飲もうかなと考えていました。そういう修羅場を乗り越えてきたのでピンチをピンチと思わなくなる(笑)。でも、今は時代が違いますし無理は禁物です。アイドルで一番大事なのは体調管理だと思います。健康でいないとステージに立てないし、ファンの方たちを笑顔にできない。今も体がキツいと感じたらあらゆるサプリを飲んで、半身浴をしています。子供や旦那がダウンしても、私だけピンピンしているときが多いですね(笑)。