<独自>事務所などから裁判参加「ウェブ口頭弁論」3月の開始から1万9千件 裁判官が認めぬケースも
一方で、ウェブ口頭弁論の実施に「地域差」が生じているとのデータもある。
都内だけでなく地方の訴訟も手掛けるオーセンス法律事務所が4~10月、所属弁護士らを対象に実施した調査では、民事訴訟の第1回期日でウェブ口頭弁論を希望した5215件のうち実際に希望が通ったのは2490件と半数ほどだった。
拠点から遠い北海道での実現率は8割近かったが、地元である東京での1437件のうち、ウェブ口頭弁論の希望が通ったのは1割に満たない124件にとどまった。「第1回期日は必ず出廷してほしい」と求める裁判官もいた。
ベテラン民事裁判官は「関係者の顔を見ておきたい、と考える裁判官も弁護士もいる」と指摘した上で、「ウェブ口頭弁論は使いやすく、順調に利用されている。今後、さらに利用が進むだろう」と期待を込める。
ウェブ会議システムを使い法廷外から訴訟に参加する仕組みは、8年中に証人尋問などでも解禁される予定。最高裁は「安定した運用が図れるように努めていきたい」としている。(宮野佳幸)