相次ぐ強盗事件。なぜ多発し、かつ凶悪化しているのか。その背景には「指示役の焦り」があるというのです。 ■横浜強殺　暗証番号聞こうと暴行か 　横浜市の強盗殺人事件で当時の詳細が分かってきました。 　後藤寛治さん（75）の自宅に押し入ったとされる宝田真月容疑者（22）ら3人がキャッシュカードの暗証番号を聞き出すために激しい暴行を加えた可能性があることが新たに分かりました。 　捜査関係者によりますと、男らの1人が犯行の途中でコンビニ店を訪れ、後藤さんのキャッシュカードで現金を引き出そうとしたものの失敗したといいます。 　そのためなのでしょうか、正しい暗証番号を言わせるために激しい暴行を加えた可能性があると警察はみています。 　後藤さんには上半身を中心に複数の骨折があったといいます。 　千葉県市川市の強盗事件でも捜査関係者への取材で新たに分かったことがあります。 　逮捕された藤井柊容疑者（26）が住人の50歳の女性を車で連れ去った後、金を引き出すために千葉県内のコンビニ店に立ち寄っていて、店内の防犯カメラに1人で歩く姿が映っていたことが分かりました。 　藤井容疑者は、このような趣旨の供述をしているといいます。 藤井柊容疑者 「女性は縛って車に放置していた」 　暗証番号を聞き出すために女性を連れ去ったのでしょうか。 　闇バイトで集められた実行役によるとみられる強盗事件。元捜査一課長は事件が多発する原因をこう指摘します。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「毎月いくら持ってこいって言われていると思う。どうしても納めなきゃいけない、お金を用意しないといけない」 　“凶悪化と多発化”の背景。そこには指示役の焦りがあるというのです。 ■千葉・船橋でも“不審な男”目撃者語る 　千葉県八千代市の強盗予備事件で逮捕された19歳の男が船橋市の貴金属店でも強盗をしようとしたとして24日、再逮捕されました。 　狙われた店は予約制で当時、施錠していたといいます。 狙われた店の責任者 「8月末ぐらいだったかと思うが、2人組の男が来て、そこ施錠されてるんですけど、そこのドアが。そこを開けようとしまして、鍵は閉まってるので私が出て行った」 　店の責任者は2人組の男を不審に感じたといいます。 狙われた店の責任者 「マスクしている感じで帽子も被ってたりして、ちょっと様子がおかしかったので話し掛けてみて。『予約されていますか』と聞くと、しどろもどろになって『じゃじゃじゃあ、いいです』って帰っていく感じ」 　八千代市の強盗予備事件で19歳の男とともに逮捕された轟祐二容疑者（24）と岸本蘭丸容疑者（21）も船橋市の事件への関与をほのめかしているといいます。 　実行役をまるで“使い捨て”のように指示役が犯行を繰り返させているとみられるのです。 　その背景には指示役への“首謀者からの圧力”があると、元神奈川県警捜査一課長の鳴海氏は指摘します。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「指示役にどんどんやらせて、実行役が捕まっても構わないから、とにかく金を集めて来いと指示を出している」 　鳴海氏によりますと、闇バイトで集めた実行役に強盗や運転、下見などをさせている指示役の上に“首謀者”がいるといいます。 ■指示役に焦り？強盗“凶悪化”の背景 　“首謀者”からの指示役への圧力が強まるなか、事件が多発する背景に指示役の焦りがあるといいます。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「狙いを定めた場所から思ったようなお金を奪えていないという点じゃないか。本来あるべきお金がないから、1回で入るはずのお金が入ってこない。何回かに分けてやらないといけなくなってしまう。下調べがよくできてないのが原因ではないかと思う。ただ名簿とか他のもので『この家はお金があるだろう』と現場に行くが、実際やってみると、そんなにお金がなかった」 　焦った指示役が十分な下見もせずに次から次へと犯行を指示しているというのです。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「自分たちがこれぐらいあると思っていた額に達するにはキャッシュカードなどでお金を作るしかない。そうなってくると、じゃあカードのありかはどこだと、暗証番号はいくつなんだを聞き出さないといけない。それは聞き出すのに手荒なことをしなくきゃ喋らない」 　では、なぜ“首謀者”の圧力が強まっているのか…。 　鳴海氏は首謀者の上に、さらに指示をする存在がいる可能性があるといいます。 元神奈川県警捜査1課長　鳴海達之氏 「やっぱり背後にいる組織にお金を渡さないと自分たちがやられちゃいますもんね。結局、実行役たちが身分証を取られて身元が分かっていて、逆らったら自分も含めて家族もやられちゃう。同じ立場ですよ、首謀者も実行役も」