世耕氏リードで陣営は「総理大臣を目指していいですか!」 和歌山「二階王国」の危機に俊博氏の秘策はあるか?
衆院選で全国でも注目される和歌山2区。自民党は、引退した二階俊博元幹事長の後継として二階氏の三男・伸康氏を公認。一方、裏金事件で党から処分を受けて離党した世耕弘成・前参院幹事長が無所属で出馬し、白熱の戦いだ。渦中の選挙区に10月20日朝、伸康氏の応援のため石破茂首相が姿を見せた。 【写真】手をつないで支援者に応える世耕氏と妻の林久美子氏 和歌山県内では昨年4月、衆院補選の応援に来た岸田文雄首相(当時)に爆弾が投げつけられて爆発するテロがあった。さらにこの石破首相の和歌山来訪の前日(19日)には、自民党本部に火炎瓶が投げつけられ、首相官邸手前のフェンスに軽乗用車が突っ込む事件があったばかり。海南市のJR南海駅前であった石破首相の演説会では厳重な警備態勢が敷かれることになり、石破首相と聴衆の間には20m以上の「空白地帯」が設けられ、メディアが取材できる場所は、さらに30mほど下がった位置だった。 厳重な警備のもとでマイクを握った石破首相は、 「こんな離れたところからしゃべるのは好きじゃない」 と言いながら、 「あらゆることに公平、公正、謙虚な政治。自民党を取り戻す」 と裏金からの脱却を主張したが、10秒ほど触れただけで、聴衆の反応は鈍かった。 ■首相来訪でも聴衆は300人ほど この日、自民党和歌山県連は石破首相が応援に来るとあって、「1000人動員」を目指して人を集めたという。しかし、日曜の朝という時間帯もあってか、実際に集まったのはその3割ほどだった。 人が集まらないのは、和歌山2区の情勢にも起因しているようだ。 この地域は当選13回を誇る二階元幹事長が長く地盤としていた。一方の世耕氏は参院和歌山選挙区で当選5回、経済産業相や参院幹事長などを務めてきた大物。これまでも衆院へのくら替えを模索してきた世耕氏だが、二階氏が裏金事件の責任を取る形で引退し、伸康氏を後継に立てたタイミングを好機とみて、勝負に出た。 自民党は伸康氏を早々に公認し、手厚くサポートしている。一方の世耕氏は安倍派5人衆の1人として裏金事件で処分を受けて離党し、無所属での出馬だ。このため当初は、伸康氏には世襲批判はあるものの、世耕氏と接戦になるのではという見方が多かった。 だが、自民党やメディアの情勢調査が出てくると、世耕氏が大幅にリードしている状況だった。「二階王国」と呼ばれた和歌山2区では、“政権交代”か、とささやかれている。